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寄与分とは
寄与分とは、共同相続人中に、
- 被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付
- 被相続人の療養看護その他の方法
によって、被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をした場合、
相続財産から寄与分を控除したものを相続財産とみなし、寄与分が認められた相続人は、その算定された相続分に寄与分を加えたものがその者の相続分になる、という制度です。
(民法904条の2)
民法の条文が枝番号になっていることからも分かるとおり、寄与分は最初から民法の規定にあったものではなく、1980年(昭和55年)の民法改正の際に創設された規定です。
寄与分の認定
実務で寄与分が問題とことが多いのは、相続人の中に被相続人の療養看護をした者がいる場合の寄与分の認定です。
寄与分は単に被相続人の療養看護を手伝うと認めらるものではなく、療養看護することによって被相続人の財産が維持、増加するなど、「特別の寄与」があった場合に認められます。
さらには、「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。」とされており(民法729条)、特別な寄与が認められるためには、一般的な扶養義務を超えた貢献がある場合に限られます。
寄与分が認められるか否かは個々の事情で異なりますが、一つの基準としては、
- 被相続人に療養看護の必要があったこと(要介護2以上が目安)
- 特別の貢献があったこと
- 無償性※1
- 継続性(原則1年以上)
- 専従性※2
- 被相続人の財産の維持・増改と因果関係があったこと
などが参考にされています。
※1
交通費や光熱費を受取っていた場合も、その金額が介護報酬に比べて非常に低い金額であれば無償性は否定されないと考えられています。
※2
同居の相続人がフルタイムで働き、その配偶者もパートタイムで働くなどして、被相続人が日中1人といったケースでは専従性が否定されています。
他方、同居相続人が介護の合間にパート等で働くケースでは、専従性が認められる可能性があります。
最高裁判所の司法統計によると、寄与分を認めた審判例は申立件数の1割以下となっています。
特別寄与料
従来の法律では、寄与分が認められるのは「共同相続人」すなわち法定相続人に限られていました。
しかし、保険会社等の調査では、実際に被相続人の療養看護をしていたのは、被相続人の配偶者、子に続いて、「子の配偶者」でした。
しかし、被相続人の子の配偶者は、被相続人と養子縁組をしていない限り法定相続人にならないため、寄与分は認められませんでした。
そこで、2018年(平成30年)の相続法改正では、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族※は、特別寄与者として、特別寄与料の請求ができるようになりました。
(民法1050条1項)
※6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族のこと。
ただし、特別寄与料の請求は、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知ってから6カ月、又は相続開始から1年を経過するとできなくなりますので注意が必要です。
(同条2項)
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