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個人開業医が医療法人を設立する場合、次のようなメリットが考えられます。
実効税率の比較
個人の開業医が医業により所得を得ると、事業所得として所得税が課税されます。
所得税は累進税であり、課税される所得金額が4,000万円を超えると、地方税と併せて55%の税金が課税されます。
したがってクリニックが軌道に乗ってくると非常に加重な税金が課せられることになります。
他方、医療法人の場合、各事業年度の所得に課税される法人税は、法人の資本金額や所得額によって適用税率は変わりますが、税率そのものは定率です。
事業税の損金算入の影響を考慮した上で法人税、住民税および事業税の所得に対する税率を合計した時刻税率は約30%で、所得税及び住民税の最高税率55%より低率です。
経費の比較
医療法人では、役員が退職する際、勤務期間や功績に応じて役員退職金が支給できます。
役員が退職金を受領した際の所得税の計算では、勤務年数に応じて退職所得控除を受けることができるなど優遇されています。
他方、個人の場合はそもそも役員退職金の支給ができません。
医療法人の場合、使用人兼役員には賞与を支給することができます。
しかし、個人の場合賞与を支給することはできません。
その他、医療法人では、法人が不動産を取得し、一定の金額で役員や従業員に当該不動産を賃貸することができます。
しかし、個人の場合はこうしたことはできません。
欠損金の控除
医療法人においてある事業年度で欠損金が生じた場合、最大9年間(平成30年4月1日以降に開始する事業年度では10年間)欠損金の繰り越しができます。
したがって、欠損金が生じた翌期以降の事業年度に益金が生じても、欠損金と相殺することで税負担を軽減できます。
他方、個人が青色申告をしている場合、欠損金を繰り越すことができるのは3年となります。
まとめ
このように税制面では個人の開業医より医療法人の方が優遇されているといえます。
他方で、医療法人になると、理事会等のガバナンスを整備し、決算申告時に税理士に依頼するなど、様々なコストが発生します。
したがって、医療法人化はこうしたコストを上回る税制上のメリットが認められる場合に検討することになります。
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