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スタッフへの退職勧奨
問題のあるスタッフに辞めてもらうために退職勧奨を行う場合があります。
病医院(使用者)がスタッフに退職勧奨を実施すること自体、問題はありませんが、対象者の選定、退職勧奨した回数・時間・言動等において社会通念上相当性を欠くことがないように注意をする必要があります。
対象者の選定
出産を控えたスタッフにだけ退職勧奨を実施するなど、差別的な意図があると違法となります。
退職勧奨した回数・時間
多人数で長時間にわたり何度も退職勧奨を行った結果、労働者が退職の意思表示をした場合などは、後に退職の効力が争いとなった場合、スタッフ者の真意に基づかない退職の意思表示と判断される可能性があります。
退職勧奨時の使用者の言動等
スタッフの人格を貶める言動、威圧的な言動はNGです。
スタッフの普通解雇
スタッフを普通解雇するためには、就業規則に規定する①客観的合理的理由があり、②相当性があることが必要です。
就業規則における客観的合理的理由の記載例には次のようなものがあります。
精神・身体の故障
精神又は身体の故障により業務の遂行に堪えないと認められたとき
勤務成績不良
勤務成績または業務能率が著しく不良で、改善の見込みがなく就業に適さないと認められたとき
業務に怠慢で構造の見込みがないと認められたとき
打切補償
打切補償を行ったとき
業務上の災害により療養開始後3年を経過した日において傷病補償年金の給付を受けているとき、又は同日後において受け取ることとなったとき
業務上の必要性
事業の縮小、廃止その他、クリニックの経営上やむを得ない事由のあるとき
試用期間中の不適格
試用期間中の者で、従業員として不適格と認められるとき
包括的解雇条項
その他、前各号に準ずるやむを得ない事由が生じたとき
病医院ではスタッフの普通解雇を実施するまでに、次のような準備をしておく必要があります。
- 一定期間当該スタッフに注意(指導)を行う
- 上記注意(指導)を行った証拠を残す
- 実現可能な改善目標を具体的に設定する(可能であれば目標を数値化する)
- 改善目標を設定する際に当該スタッフの意見を聴取する
- (可能であれば)業務・配置の転換を検討する
- 退職勧奨を行う
経験者として採用したスタッフを能力不足で解雇する場合
経験者として採用したスタッフについて能力不足を理由に解雇する場合、解雇の有効性が争われると①労働者の改善可能性、②労働者の地位・業務特定の有無、③使用者の行った改善・配転措置、が考慮されることになります。
スタッフの改善可能性
必要な指導・教育により改善の余地があるといえるのか。
スタッフの地位・業務特定の有無
中途採用等で一定の能力を有することを前提に採用された場合は、解雇の客観的合理性・社会通念上の相当性が認められやすいといえます。
病医院(使用者)が行った改善・配転措置
病医院が行った改善等の措置が問題となりえますが、高度の専門職である医師の場合は、改善措置・配転措置は重視されない傾向にあります。
指導医から特段の注意・指導を受けていない研修医の解雇が有効とされた事例
「(研修医=原告は)既に免許を取得した医師として医療行為に従事しており、高度の診察能力を備えた「認定内科医」等の資格の取得を目的として臨床研修を受けていた。原告は、自己研さんにつとめ、自分自身で行動を規律すべきであり、医学的知識や技能とは直接関係しない日々のコミュニケーション等の問題について指導医等からの注意・指導があったか否かは、本件解雇の効力を左右するものとは認められない」
(東京地判平成15年11月10日労判870-72 自警会東京警察病院事件)
その他の病医院の法律問題は
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