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インフォームドコンセントは、患者の自己決定権の尊重を目的として、医師が患者本人に現在の症状や診断病名等を説明するものです。

しかし、実際の医療現場では様々な理由によってインフォームドコンセントを実施することができない場合があります。

 

緊急搬送された意識不明の患者

 

緊急搬送されてきた患者の意識がない場合、患者本人から治療に対する同意を得ることはできません。

もっとも、患者の家族が患者に付き添ってきている場合や、患者の家族に連絡が付く場合は、家族に説明してその同意を得ることで、本人の同意に代えることができると考えられています。

 

確かに法的には家族には本人に代わる同意を行う権限等はありませんが、医療の現場では家族の同意は「代諾」として、医療現場での慣行として取り扱われています。

家族に連絡がつかない場合は「代諾」を得ることはできません。

この場合、医師が患者本人のために治療を行い、当該治療行為に重大な過失がなければ「緊急事務管理」として医師は損害賠償責任等を負いません。

 

民法698条(緊急事務管理)
「管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。」

 

患者が未成年者

 

行為能力の制限を受ける未成年者は、単独で法律行為を行うことができず、法定代理人の同意を得る必要があります(民法5条1項)。

したがって未成年者と治療契約は、親権者等の同意を得て締結することになります。

 

しかし、インフォームドコンセントについては、法律行為の有効性の問題とは別の見地から考える必要があります。

また、一口に未成年者といっても19歳と乳幼児では判断能力に大きな違いがあります。

 

この点について、女子は16歳で婚姻ができること(民法730条)、「『臓器の移植に関する法律』の運用に関する指針(ガイドライン)」のおいて、15歳以上の者の意思表示を有効なものとして扱うものとされていること等から、15~16歳程度の未成年者であれば、インフォームドコンセントに対して、有効な同意がなしうるのではないかと考えられています。

 

また、未成年者である患者が上記年齢に達していない場合であっても、治療を受ける小児患者に対して、治療について理解できるよう分かりやすく説明し、その内容について子ども本人の納得を得ることが望ましいといわれています(インフォームドアセント)。

 

さらに、児童虐待(ネグレクト)が疑われるケースで、親権者等が虐待の痕跡の発見をおそれて治療に同意をしない場合は、児童相談所への通告を検討する必要があります。

 

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