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相続分の譲渡と相続債務
相続分の譲渡の効力は相続債務にも及びます。
しかし、債権者と無関係に相続分を譲渡した相続人が免責されることは不適当です。
そこで、相続債務については、譲渡人も依然として債務者として扱われます。
この場合、譲渡人と譲受人が負う債務は、不真正連帯債務として取り扱われます。
相続分の譲渡の方法
法律上、相続分の譲渡には特別な様式は必要とされていません。
ただし、相続分を譲渡する場合、裁判所に次の書類を提出することが必要となります。
①相続分譲渡届出書
②相続分譲渡証書(必要事項の記入の他,譲渡人と譲受人の両方の記名・押印のあるもの)
③即時抗告権放棄書(必要に応じて裁判所に提出)
④印鑑登録証明書(相続分譲渡人のもの。コピー不可。)
譲受人の地位
遺産分割前の共同相続人は、相続財産を共有しており、相続分が確定するのは遺産分割後になります。
したがって、相続分の譲受人がいる場合、共同相続人の相続分を確定させるため、譲受人を遺産分割協議に関与させる必要があります。
(東京高決昭和28年9月4日)
共同相続人間で相続分の譲渡がある場合は、「積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分が譲受人に移転し、譲受人は従前から有していた相続分と新たに取得した相続分とを合計した相続分を有する者として遺産分割に加わることに」なります。
(最判平成13年7月10日)
譲渡人の地位
譲渡人の地位については、「相続分を譲渡した相続人は、遺産分割前の遺産について共有持分を有しないことになり、遺産分割調停、審判における当事者適格も欠くことになると解されるから、遺産確認の訴えについての当事者適格を有しないというべき」とされています。
(東京高判平成19年11月28日)
遺産分割協議の途中で相続分の譲渡がなされた場合、譲渡人は排除の裁判によって遺産分割手続から離脱することになります(家事事件手続法258条・43条)。
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