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相続人の廃除
相続人の廃除は、相続欠格と並ぶ相続権のはく奪事由です。
相続欠格は、相続人が欠格事由に該当する行為をしたときに、何らの手続を要せず、法律上当然に相続権を失います。
他方、相続人の廃除は、遺留分を有する相続人が、被相続人を虐待などしたときに、被相続人の請求に基づいて、家庭裁判所の審判によって相続人の相続権をはく奪する制度です。
したがって、遺留分を有さない兄弟姉妹は排除することができません。
相続人の廃除は、被相続人が家庭裁判所に審判の申立をすることで行います(生前廃除)。
また、被相続人は、遺言によっても排除の申立をすることができます。
遺言による廃除の申立は、遺言執行者が遅滞なく家庭裁判所に廃除の請求をすることで行います。
廃除の理由と審判
1 推定相続人が被相続人に対して虐待をしたこと
2 推定相続人が被相続人に重大な侮辱を加えたこと
3 推定相続人にその他の著しい非行があったとき
上記「虐待」又は「侮辱」は、被相続人に対し精神的苦痛を与え又は名誉を棄損する行為であって、それにより被相続人と当該相続人との家族的共同生活関係が破壊され、その修復を著しく困難ならしめるいものを含む、とされています。
(東京高決平成4年12月11日)
もっとも、廃除は相続権のはく奪という重大な効果を生じさせるため、家庭裁判所では廃除該当性の判断は慎重に行われているようです。
具体的には、①相続人の非行が一時の激情にかられたものや、②その非行が被相続人の態度・生活等にも起因する場合は、廃除事由にあたらないとした裁判例があります。
廃除の効果
廃除の審判の確定により、排除された相続人は直ちに相続権を失います。
遺言による廃除の場合は、その効果は相続開始時に遡及します。
廃除請求者は、廃除の審判の確定日から10日以内に戸籍法の定めるところにより、相続人の廃除を届出る必要があります。
廃除の効果は相対的で、他の者に対する相続権は失われません。
また廃除の効果は一身専属的で、被廃除者の子や孫の代襲相続権には影響がありません。
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