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特別縁故者とは
被相続人の遺産は、法定相続人がおらず、遺言による遺贈がない場合、最終的には国庫に帰属します。
ただし、特別縁故者がいる場合は、特別縁故者が遺産の全部または一部を取得します。
具体的に特別縁故者とは、
①被相続人と生計を同じくしていた者
②被相続人の療養看護に務めた者
③その他被相続人と特別な縁故があった者
であり、①と②は例示であるとされています(民法958条の3第1項)
①被相続人と生計を同じくしていた者
内縁の妻(夫)、事実上の養親子、同居の親族、認知していない子、亡くなった子の配偶者等です。
②被相続人の療養看護に務めた者
被相続人の療養看護に努めた者は、①被相続人と生計を同じくしていた者と重複する場合も少なくありませんが、審判では次のような者が該当すると判断されています。
〇老人ホーム入所時に身元保証人や成年後見人となったほか、遠距離にもかかわらず多数回にわたり老人ホームや入院先を訪れて、親身になって被相続人の療養看護や財産管理に尽くすなどした被相続人の妹の孫夫婦
(大阪高決平成20年10月24日)
〇被相続人の唯一の頼りになる相談相手となり、入院に際しては看病に努め、退院後は自宅に引き取り、生活の一切を世話をし、被相続人の死後、その遺体解剖に立ち会い、被相続人の葬儀一切を執り行い、死後法要等を欠かさなかった者(被相続人の知人夫婦)。
(大阪家審昭和52年3月15日)
〇被相続人から報酬を得て稼働していた付添看護婦(師)であっても、雇用契約を超えて被相続人のために尽くした等の事情がある場合
(神戸家審昭和51年4月24日)
③その他被相続人と特別な縁故があった者
①②に準じる程度に被相続人と精神的・物質的に密接な交渉があった者で、相続財産をその者に分与することが被相続人の意思に合致するであろうとみられる程度に特別の関係があった者をいいます。
審判例では次のような者が該当するとされました。
〇被相続人を収容看護していた養老院
(長崎家審昭和41年4月8日)
〇被相続人が代表者をしていた学校法人
(大阪家審昭和57年3月31日)
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