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以前このブログで、医療法人設立の税制上のメリットとして、①実効税率が低くなる、②支出の多くを経費化できる、③欠損金を最大9年(平成30年4月1日以後に開始する事業年度は10年)繰り越せる、といったことを紹介しました。
そこで今回は、反対に医療法人化によって生じるデメリットをご紹介します。
院長の可処分所得が減少する
医療法人の目的の一つは、所得の分散による税負担の軽減化にありました。
この所得の分散によって院長の可処分所得自体は少なくなります。
持分なし医療法人しか設立できない
医療法の改正により、平成19年4月1日以降、新たに設立される医療法人は全て持分が認められなくなりました。
この持分なし医療法人が解散すると、残余財産は全て国庫に帰属することになります。
事業報告書等の作成が必要となる
医療法人は、毎会計年度終了後2か月以内に事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、関係事業者との取引の状況に関する報告書を作成する必要があります(医療法51条1項)。
これら事業報告書等は、理事から監事に提出され、監事はこれらをもとに業務・財産の状況を監査し、監査報告書を作成する必要があります(同46条の8第3号)。
経営の透明性の確保・ガバナンスの強化が求められる
医療法人経営の透明性の確保のため、一定の規模以上の医療法人には医療法人会計基準の適用と公認会計士等による外部監査が義務付けられました。
また、一定の規模以上の医療法人には、計算書類の公告も必要となります。
さらに、医療法人とMS法人関係者との関係の透明化のため、毎年度、医療法人と関係事業者との一定の取引状況を都道府県知事に報告する必要もあります。
その他のデメリット
院長が小規模企業共済に加入していた場合は脱退する必要がある。
地方税の均等割の負担が生じる。
交際費等の損金不算入制度が適用される。
組織や構成員が変わるたびに登記する義務が生じる。
まとめ
医療法人化には税制上のメリットがある反面、今回ご紹介したようなデメリットもあります。
もっとも、デメリットの内容を見てみると、そのほとんどが医療法人化による事務作業の増加のため、事務作業を効率的に進めることができれば問題はないとも言えます。
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