ブログ

贈与財産の選択

 

相続税対策として資産家の間に広く浸透しているのが生前贈与です。

暦年課税では、受贈者1人につき暦年で110万円の基礎控除が認められるため、贈与年数を長く、そして受贈者を多くすることで税負担なく(あるいは軽減しながら)子弟等に資産の承継を行うことができます。

また、相続税に関する税制は将来変更される可能性がありますが、暦年課税は実行の都度完結するため将来の税制改正の影響を受けません。

 

それでは、生前贈与を実行するに際してどのような財産を贈与すればいいのでしょうか。

 

現預金

 

生前贈与を実行する場合、その対象として最も利用されているのが現預金です。

現預金の生前贈与のメリットは移転コストがかからない点です。

また、相続税評価で現預金は額面で評価されるため、額面と相続税評価額に差異が生じません。

 

一方で、現預金の生前贈与は受贈者の無駄遣いや、受贈者の金銭感覚のマヒといった問題が生じます。

この問題を解決しようと、贈与者が受贈者名義の預貯金を管理すると「名義預金」として将来の相続税の税務調査等で申告漏れとして指摘される恐れが生じます。

 

不動産

 

金融資産はさほどないが広大な土地を有している地主等の場合、土地を生前贈与するといったニーズが高くなります。

不動産は持分で贈与できるため、現預金と同様に計画的な生前贈与ができます。

 

他方で、不動産の生前贈与は移転コストが高くつきます。

登録免許税は登記原因が相続の場合、固定資産税評価額の0.4%ですが、贈与の場合は2%となります。

また、不動産取得税は相続の場合は課税されませんが、贈与の場合は固定資産税評価額の4%です。

(2012年3月31日までは、土地及び住宅の場合は3%、また宅地の課税標準額は固定資産税評価額の2分の1の特例あり)

 

自社株式(取引相場のない株式)

 

企業オーナーの親族に後継者がいる場合、その後継者に対して自社株式を生前贈与するニーズが高くなります。

内部留保が大きな会社の場合、相続時に自社株式の相続税評価額が高くなりますが、換金が容易ではないため自社株式にかかる相続税納税資金を別途調達する必要があります。

そこで生前贈与で自社株式を後継者に移しておけば、こうした問題が解決できます。

 

一方で企業オーナーに後継者以外の指定がいる場合、後継者への自社株式の生前贈与はオーナーの相続時に特別受益として指摘される可能性があります。

(特定の相続人への生前贈与は自社株式に限らず特別受益の問題が生じます)

また、受贈者である後継者が急に会社を継がないと言い出したり、先に亡くなったりすると、それまでに贈与した自社株式を改めて移転する問題が生じます。

 

その他の相続に関する解説は

👉相続・遺言・遺産分割

オールワンへの
お問い合わせ・ご相談予約