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相続対策とは
一般的に相続対策としてあげられるものに遺産分割対策と相続税対策があります。
遺産分割対策とは、複数の相続人がいる場合の遺産分割をスムーズに行うための準備のことです。
遺産分割対策については、よく「うちは揉めるほどの財産がないから大丈夫。」という人がいます。
しかし、裁判所の統計によれば、家庭裁判所の調停事件中、遺産の価額が5,000万円以下の事件数が全体の約75%を占めています。
遺産の価額1,000万円以下の事件に限っても全体の約33%を占めています。
したがって、遺産分割対策は一部の資産家だけに必要とされるものではなく、普通の家庭でも必要となるものです。
遺産分割対策で重要となってくるのが遺言の作成ですが、遺言作成の効果等については別の機会に説明したいと思います。
相続税対策とは
相続税対策には相続税納税資金の確保と、相続税対策が挙げられます。
相続税納資金の確保
相続税の申告及び相続税の納付は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。
この申告等で確定した相続税を法定納期限までに納付できないと延滞税が課税されます。
延滞税の税率は、納期限の翌日から2月を経過する日まで 年「7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合となります。
平成30年1月1日から令和2年12月31日までの期間は、年2.6%です。
納期限の翌日から2月を経過した日以後の延滞税は、年「14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となります。
平成30年1月1日から令和2年12月31日までの期間は、年8.9%です。
相続税対策
他方で、いわゆる相続税対策なるものはその効果が不確実といわざるを得ません。
なぜなら、現在有効とされる相続税対策は現在の税制を前提としているため、税制改正が行われた後にその効果が維持されるのかについては予測ができないためです。
例えば、従来、国外財産への相続税課税を回避するスキームとして親子が海外に5年以上居住するといったことが行われていました。
しかし平成29年4月1日以降は、被相続人及び日本国籍を有する相続人が、国外財産への相続税課税を回避するには、両者が国内に10年超住所がない場合に限られることになりました。
また、小規模宅地のいわゆる「家なき子」の要件については、従来、相続開始前3年以内に自己または自己の配偶者の持家に居住していないこと、とされていました。
このため、持家を自分の子や同族法人に譲渡・贈与するなどして「家なき子」の要件を充足するような対策が広く行われてきました。
しかし平成30年度の税制改正により、「家なき子」の対象から、自己または自己の配偶者に加え、3親等内の親族、関係同族会社及び一般社団法人が所有する家屋に居住していた者が除外されました。
このように相続税対策といわれるものは不確実です。
したがって相続税対策を行う場合も、一つの対策に絞り込むことはリスクが高いため、複数の対策をバランスよく行う必要があります。
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