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特定調停とは
特定調停とは、特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律(以下、「特定調停法」)に基づき、支払不能に陥る可能性がある債務者等の経済的再生に資するための手続のことです。
具体的には、経済的に破綻する恐れがある個人または法人が、原則としてすべての債権者との間の債務の支払等の調整を求める調停を簡易裁判所に申し立てます。
簡易裁判所では、債務者と各債権者が調停委員を交えて支払額、支払条件等の変更を話し合います。
債務者と債権者間で、債務者の経済的再生に資する公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容の合意(特定調停法17条2項)が成立すると、債務者は、合意により定められた債務者に有利な返済条件に従って返済をすることになります。
特定調停を利用するメリット
1 民事執行手続の停止
裁判所は、事件を特定調停によって解決することが相当と認める場合で、①特定調停の成立を不能にするおそれがあるか、②特定調停の成立を著しく困難にするおそれがあるか、③特定調停の円滑な進行を妨げるおそれがあるときは、申立てにより、特定調停が終了するまでの間、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特定調停の目的となった権利に関する民事執行手続の停止を命ずることができます。
(特定調停法7条1項本文)
2 利息引き直し計算
特定調停では、当事者は、調停委員会に対して、債権又は債務の発生原因及び内容、弁済等による債権又は債務の内容の変更及び担保関係の変更等に関する事実を明らかにする必要があります。
(特定調停法10条)
したがって、特定調停では、債権者と債務者の間の当初取引からの利息の引き直し計算をすることが前提となっています。
なお、債権者が取引履歴の開示に応じない場合などでは、調停委員会は、特定調停のために特に必要があると認めるときは、当事者に対して、事件に関係のある文書又は物件の提出を求めることができるとされています。
(特定調停法12条)
3 将来利息が発生しない
調停条項案は、特定債務者の経済的再生に資するとの観点から、公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のものであるため(特定調停法15条)、将来の利息は発生させないのが一般的です。
4 貸金業者からの取立行為の停止
調停申立後、債権者から債務者に対する架電、訪問等による取立行為が停止されることが一般的です。
特定調停を利用する際の留意点
特定調停はあくまで債務者と債権者間の話し合いによる解決を目指す手続です。
したがって合意ができない場合は特定調停による解決は困難です。
また、一旦調停が成立すると、調停調書が債務名義になるため、債務者が合意に従った弁済をしないと強制執行を受けるおそれが生じます。
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