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開業医の相続の特徴

 

相続が発生した場合に起こるのが、①複数の相続人がいる場合の遺産分割の問題、②一定額以上の相続財産が残された場合の相続税の問題、です。

相続はどこの家庭でも起こるので、これらの①遺産分割の問題や、②相続税の問題は、開業医に限ったものではありません。

しかしながら、開業医の家庭で相続が発生すると遺産分割や相続税に関して、開業医ならではの問題が発生することがあります。

 

開業医の家庭における遺産分割の問題

 

開業医の家庭で相続が発生すると、医業承継の問題が発生します。

当然ながら医業を承継できるのは医師免許を持ったものに限られます。

 

医療法人の場合、法人の役員として原則3名以上の理事と1名以上の監事を置かなければなりません。

ただ、代表権を有する役員は理事長だけで、理事長は医師又は歯科医師である理事の中から選ばれるため、やはり医師免許の有無が問題となります。

 

また、出資持分がある医療法人(経過措置型の医療法人)の場合、後継者が持分を承継することができるのかといった問題が生じます。

医療法人は株式会社のように余剰金の配当ができないため、経営状態のいい医療法人では内部留保が蓄積し、持分の評価額が大きくなります。

他に相続人がいる場合、その持分を後継者が相続しようとすると、他の相続人とのバランスが取れなくなります。

 

開業医の家庭における相続税の問題

 

2019年の実施された医療経済実態調査によれば、内科の開業医の平均年収は約2,400万円です。

(一般診療所(個人(青色申告者を含む)))

また、開業医は自分で引退時期を決めることができるため、稼働期間が一般の給与所得者と比べて長くなります。

その結果、開業医の相続では相続財産に占める現預金の割合が高くなることが少なくありません。

相続税では、現預金は額面で評価されるため、不動産等を所有していた場合に比べて相続税の負担が多額になります。

 

同様に出資持分がある医療法人(経過措置型の医療法人)では、評価が高い持分に多額の相続税が課されることになります。

(出資持分のある医療法人については、一定の要件を満たせば2020年9月30日までの期間限定で、一定の認定を受けることで(認定医療法人制度)、税制上の優遇措置を受けながら持分なし医療法人への移行ができます)

 

まとめ

 

このように開業医の家庭では、医業の承継には後継者に医師の資格がいる等の制約があり、かつ相続税が多額になるといった特徴があります。

また、持分あり医療法人の場合は、当該出資持分についても別途考慮する必要があります。

対策をたて、実行に移すにはある程度時間が必要となるため、早めに信頼できる専門家に相談されることをお勧めします。

 

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