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離婚後の養育費、別居中の婚姻費用は、これまでご紹介してきたように、義務者(支払いをする側)と権利者(支払うを受ける側)の年収によってその金額によって算定します。
年収は、給与所得者の場合は源泉徴収票の「支払金額」を、自営業者の場合は確定申告書の「課税される所得金額」を基に認定されます。
(自営業者の年収については金額の修正が必要な場合があります)
それでは、権利者が親族から援助を受けている場合、その援助額は養育費や婚姻費用の算定において考慮されるのでしょうか。
例えば養育費の権利者の元妻が実家から毎月一定額の援助を受けている場合、義務者の元夫が、実家からの援助額を元妻の年収に加算して養育費を算定するように請求できるのでしょうか。
義務者の請求が認められると、権利者の年収が増加する結果、義務者が支払うべき養育費の金額が減少します。
しかし実務では、親族からの援助額を年収に加算することはしません。
援助を受けている場合も、実際に得ている収入によって養育費を算定します。
これは、親子間・夫婦間の養育費・婚姻費用の分担義務が、親族が負う扶助義務に優先するからです。
すなわち、親が未成熟子に追う養育費分担義務や、夫婦間の扶助協力義務に基づく婚姻費用分担義務はいずれも生活保持義務であるのに対して、親族間の扶養義務は生活扶助義務にとどまります。
先の例で言えば、子の第一順位の扶養義務者は元夫であることから、元夫が自分より下位の扶養義務者である元妻の親族からの援助を理由に、自らの扶養義務を免れることはできないのです。
したがって、権利者が親族からの援助を受けている場合も、その援助額は養育費や婚姻費用の算定においては考慮されません。
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