遺言・相続・遺産分割
- どのような財産が相続財産に含まれますか?
- 相続財産はどのように評価しますか?
- どこに相続財産があるのかどうやって調査しますか?
遺産分割協議で問題となる相続財産の評価、相続財産の所在が不明な場合の調査方法などについてオールワン法律会計事務所の弁護士が解説します。
相続財産の範囲
相続手続きの第一歩は、相続財産の確認と相続人の確定からです。
相続財産には被相続人の預貯金や不動産といったプラスの相続財産のほか、借金などのマイナスの相続財産があります。
仮に、プラスの相続財産よりマイナスの相続財産の方が多いとなれば後で説明する相続放棄を検討する必要があります。
したがって、まずは被相続人がどのような相続財産を残したのか調査することが必要です。
相続財産とは、被相続人が有していたもの一切です。
例)
不動産、動産、預貯金、生命保険契約、知的財産権、ゴルフ会員権等
被相続人の借金や未払金も相続財産に含まれます。
一方で、会社員の地位といった被相続人の一身に専属していた権利・義務や、祭祀物については相続財産に含まれません。
相続財産の範囲に争いがある場合
相続人間で、相続財産の範囲について争いが生じることがあります。
「相続人A名義の不動産は、実際には被相続人が所有していた相続財産である。」
「被相続人名義の不動産は、実際には相続人Bとの共有不動産である。」
といった主張が相続人から出される場合です。
遺産分割協議や審判の後にこうした主張がなされた場合は、遺産分割協議や審判の効力の問題となります。
他方、遺産分割協議や審判前にこうした主張がなされた場合は、遺産分割に先立ち相続財産の範囲を確定する必要があります。
遺産分割調停・審判手続
相続財産の範囲を巡る争いは、実体法上の権利関係の存否をめぐる紛争であり、民事訴訟手続によって解決が図られるものです。
したがって、遺産分割審判で相続財産の範囲について判断がなされても、当該判断には既判力※が生じません。
後になって当事者が審判の判断を争い民事訴訟を提起した場合は、審判と異なる判断がなされる可能性があります。
※
前の確定裁判でその目的とした事項に関する判断について、当事者は後の裁判で別途争うことができず、別の裁判所も前の裁判の判断内容に拘束されるという効力のこと。
相続人間で相続財産の範囲に争いがある場合、遺産分割調停や審判を申立てても、家庭裁判所から先に相続財産の範囲を確定するようにとの勧告を受けることになります。
訴訟手続
訴訟において相続財産の範囲を争う場合、
①特定の財産が相続財産ではなく自己固有の財産であると主張する相続人が提起する所有権確認訴訟
②特定の財産が被相続人の相続財産に帰属することの確認を求める遺産確認訴訟
という方法で相続財産の帰属を争うことになります。
①の訴訟において、原告たる相続人の請求が棄却され敗訴が確定した場合、当該相続人が後の訴訟で当該財産について相続により共有持分を取得したと主張することは、前の判決の既判力に抵触して許されないとされています。
(最判平成9年3月14日)
したがって、①の訴訟を提起する場合は、予備的に相続による共有持分の取得を主張しておく必要があります。
なお、相続財産の確認に関する訴訟は、共同相続人間の紛争解決を図るために認められる手段であることから、共同相続人全員が当事者として関与し、その間で合一に確定することが必要となります(固有必要的共同訴訟といいます。)。
不動産
土地
土地・建物その他の定着物である不動産は相続の対象となります。
土地については、様々な利用形態があります。
更地のままであったり、建物の敷地として利用されることもあります。
これらの物理的な利用状況については、登記事項証明書上の「地目」と異なっていることが多々あります。
固定資産税の課税明細書に記載されている現況地目は比較的実態即していますが、絶対的に正しいわけではありません。
グーグルマップやストリートビューを利用すれば土地の大まかな利用状況は把握できますが正確さに欠けます。
したがって、土地の利用状況については現地調査が必要となります。
農地
農地は農地法又は農業振興地域の整備に関する法律(農振法)による制約があります。
農地法による制約とは、農地を承継、処分するには、➀農地を農地のまま農家に売却、賃貸等をするか、➁農地以外の用途に変更(農地転用)した上で、自ら利用するか、第三者に売却等をする必要があります。
➀の場合は、市区町村に設置された農業委員会の許可が必要となります。
➁の場合は、都道府県知事(指定市町村の場合は市町村長)の許可が必要です。
農振法の適用がある場合、上記➁において、農用地区域内の農地の転用は原則不許可とされ、例外的に仮設工作物の設置その他の一時的な利用(3年以内)の場合に一定の条件で許可されるにすぎなくなります。
農地転用が必要な場合は、市区町村に対して農振除外申請をする必要があり、この場合、農振法が定める要件を満たす限りにおいて、その農地を農用地区域から除外することができます。
土地所在地等の確認
固定資産税の課税明細書
不動産の所在地・固定資産税評価額が確認できます。
固定資産税評価証明書
共有不動産他の共有者に「固定資産税の課税明細書」が送付されていると共有不動産が把握できません。
固定資産税が非課税となる不動産は市区町村から送付される「固定資産税の課税明細書」には記載されません。
例)固定資産税が非課税となる不動産
〇都市公園用地
都市公園用地は無償貸し付けの場合、固定資産税・都市計画税とも非課税です。
〇固定資産税課税標準額が30万円未満の土地、20万円未満の建物建物未登記建物
現地確認を行い現状を確認します。
この場合、被相続人の不動産全てについて「固定資産税評価証明書」を請求すると、被相続人名義の公衆用道路や共有物件も記載されるので確認漏れの可能性が低くなります。
名寄帳
ある人物が所有する不動産の一覧表で、市区町村で管理されている土地や建物の固定資産課税台帳を所有者別にまとめたものです。
名寄帳には、「不動産の所在地」、「種類」、「用途」、「地積」、「家屋番号」、「持分割合」、「固定資産税評価額」、「固定資産税の課税標準額」、「評価額や課税額」が記載されています。
ブルーマップ
不動産の地番しか分からず住居表示が不明な場合は、不動産の住居表示を確認する必要があります。
住居表示と地番は一致することもありますが、特に都市部などでは住居表示と地番が異なることが大半です。
このような場合はブルーマップを利用して不動産の所在地を確認することになります。
ブルーマップとは、登記所の「地図」または「地図に準ずる書面」(公図のこと)をゼンリンの住宅地図の上に調写して作成した図面で、所轄の法務局に備え付けられています。
国会図書館には発売されていない地域を除いた全国のブルーマップが所蔵されています。
現地調査
すでに述べたとおり、登記事項証明書上の「地目」や、固定資産税の課税明細書の「現況地目」は現在の利用状況と異なる場合があります。
また、登記事項証明書上の「地積」についても、縄延びや縄縮みにより実際の地積と異なる場合があります。
したがって、不動産については現地調査が必要となります。
土地の評価に必要な資料
地積測量図・公図
土地を評価する場合、土地の間口・奥行・形状等を確認する必要があります。
地積測量図により評価対象地の間口・奥行・形状を確認することができます。
土地の現況が地積測量図と異なる場合、隣地所有者の越境使用や縄延びなどの可能性があります。
特に山林や農地、これらから転用された宅地などでは現況と地積測量図が異なることもあるので、そうした場合は測量を実施することを検討します。
法務局に備え付けられた公図は土地の形状を把握するのに役立ちますが、地積測量図がある場合、地積測量図の方が正確なため地積測量図を利用します。
路線価図・評価倍率表
路線価とは、市街地を形成する地域において、道路に面した土地の1平方メートルあたりの評価額のことです。
路線価は、相続税や贈与税を計算する際の基準として用いられ、国税庁が毎年1月1日時点の価格を7月に公表します。路線価は、公示価格の約80%を目安に設定されています。
路線価は、国税庁のウェブサイトで公開されている路線価図で確認できます。路線価図には、道路に面する土地の1平方メートルあたりの価格が記載されています。
土地の評価額は、路線価に土地の面積を乗じて計算しますが、土地の形状や状況に応じて調整率を考慮する必要があります。
路線価が記載された「路線価図」について土地を評価する場合、路線価図の端に評価対象土地がある場合、別の路線感を用いて評価をしてしまうことがあります。
こうした場合は画面で確認するだけではなく、「路線価図」を印刷の上で切り貼りして繋げ、路線価を確認するようにします。
路線価が定められていない地域については、その市区町村の「評価倍率表」を用いて土地を評価します。
「路線価図」も「評価倍率表」も国税庁のホームページで確認できます。
都市計画図
都市計画図とは、地方公共団体がその行政区域内の都市計画の内容を示した地図のことです。
通常、地形図に都市計画道路の位置や用途地域の色分けなどが書き加えられています。
都市計画図では、都市計画上の用途地域のほか、容積率や都市計画道路の予定の有無を確認することができます。
特に奥行きが20m以上ある土地を評価する場合、「容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地」の評価減を行うことができる可能性が高いので、容積率を確認する場合は都市計画図を確認するようにします。
都市計画図は、インターネットで調べたい市区町村の名前と用途地域、もしくは都市計画図と検索すれば閲覧できます。
紙の図面を確認したい場合は、各自治体の都市計画課など、担当課の窓口で閲覧や購入ができる場合があります。
道路(台帳)図面
道路図面とは、道路の維持管理のために、道路に関する基礎的な情報を示す図面で、道路法第28条に基づいて作成される「道路台帳」の図面を指します。
道路図面により評価対象地が接面する道路の幅員等を確認することができます。
前面道路の幅員が12m未満の土地については、評価対象地の容積率が制限されることがあります。
都市計画上の用途地域が住居系の場合、前面道路の幅員×4/10と都市計画で定められた容積率のいずれか小さい方、住居系以外の場合、前面道路の幅員×6/10と都市計画で定められた容積率のいずれか小さい方が評価対象地の容積率になります。
また、評価対象地の前面道路が「2項道路」※に該当する場合は、セットバックの要否を確認する必要があります。
※建築基準法第42条第2項の規定により、建築基準法上の道路とみなされる道路のことです。2項道路は、建築基準法が制定される前から存在していた幅4m未満の道路を指します。建築物を建てるには、原則として幅4m以上の道路に2m以上接している必要があります(接道義務)。しかし、2項道路に接している場合でも、建物を建てる際にセットバック(道路後退)することで、建築が可能になります。
道路図面は、各市区町村役場の道路管理課等で取得できます。
道路種別図
道路種別図とは、建築基準法上の道路種別を明示した地図のことです。
建築基準法第42条の規定に従い分類されています。
道路種別図によっても評価対象地の前面道路が「2項道路」に該当するかを確認することができます。
道路種別図は各市区町村役場の建築指導課等で取得できます。
借地・借家
賃貸借契約書
賃貸借契約の内容・権利金の収受の有無を確認します。
賃貸借契約書以外にも次のような書面で契約関係を確認できます。
〇土地の無償返還に関する届出書
〇相当の地代の改訂方法に関する届出書
〇借地権者の地位に変更がない旨の申出書
〇借地権の使用貸借に関する確認書
埋蔵文化財包蔵地(遺跡)
埋蔵文化財包蔵地の調査
京都市内には旧石器時代から江戸時代にかけての周知の遺跡が約930箇所あります。
これらの遺跡内で公共事業を除く建設工事や開発工事,土壌汚染土の除去などを行う場合,文化財保護法第93条に基づき,工事開始の60日前までに届出を行う必要があります。
この届出があった場合、京都市からは工事の遺跡に及ぼす影響等を考慮して文化財保護法第93条第2項に基づき,以下の調査内容が指示されます。
慎重工事
遺跡へ影響を及ぼさないよう慎重に工事し,遺構・遺物を発見した場合は連絡すること。
立会調査
ガス管敷設等の線掘り工事や遺跡に与える影響の小さな小規模工事について,工事時の掘削の際に 調査員が立ち会う調査(詳細分布調査)。
試掘調査
遺跡の有無や残存状況の確認,開発事業との調整,記録保存のための発掘調査の範囲及び調査に要 する期間や経費等の算定のために行う調査。
発掘調査
工事により遺跡が破壊される場合に実施する調査。
参照:京都市「周知の埋蔵文化財包蔵地内における取扱い要綱(京都市域内)」
預貯金
通帳
残高証明書
相続開始時の預貯金の残高を確認します。
※注意点
残高証明書の対象をすべての取引(預金、借入、投信等)とします。
農協では取引内容により残高証明書依頼書の様式が異なるため、全ての取引の残高証明を取り寄せたい旨伝えます。
口座開設届出書の写し
口座開設を行った者、届出印の確認ができます。
相続税の申告において、名義預金の有無を調査する際に参考となります。
※注意点
一般の金融機関では、相続人名義の口座を相続人自身が確認する場合などを除いて伝票の写しは開示されません。
ゆうちょ銀行では一定手続により、預入時、払戻時の証拠書(入金票、払戻請求書)の写しを開示してもらえます。
保管期限
金融機関の取引記録は、10年間保管しなければならないとされています(会社法432条2項)。
ゆうちょ銀行の貯金事務センターでは、貯金の調査可能な期間は過去7年分(ただし、通常貯金の取引履歴は口座が特定されている場合は過去10年分)とされています。
ゆうちょ銀行の貯金額は、一人につき財形定額貯金等を除く貯金(通常貯金、定額貯金、定期貯金等)を合わせて1000万円までとされているため、貯金事務センターで預かり残高を管理するため名寄せされ、一括管理されています。
有価証券
証券保管振替機構
証券保管振替機構では予め証券会社等から当該証券会社に口座を開設している者の住所氏名等(加入者情報)を入手の上、加入者情報簿に登録しています。
登録済加入者情報の開示請求を行うことで、株主が株式等の口座を開設している証券会社等の名称、登録内容を確認します。
証券会社の残高証明書
証券保管振替機構の開示情報には株式等の保有情報は含まれないため、各証券会社から残高証明書を取得して被相続人の保有株式等を確認します。
株主名簿管理人への照会
単元未満株は証券会社の残高証明書では確認できません。
会社四季報等で対象会社の株主名簿管理人(信託銀行等)を確認し、当該信託銀行の証券代行部に連絡の上、信託銀行が管理する特別口座の単元未満株の有無、内容を確認します。
株式異動証明書
株主名簿管理人から株主異動証明書を取得し、当該銘柄を取得した時期(名義書換時期)を確認します。
取得時期の当該銘柄の取得費を確認することで、当該銘柄を売却する場合の譲渡所得税を軽減することができます。
動産
家庭用財産、貴金属、書画骨董などが申告漏れになることが少なくありません。
特に家に代々伝わる貴金属、書画骨董は被相続人の財産といえるのか分からないことが多く、申告から除外することも多いようです。
そうしたケースでは、先代(被相続人の親)の相続税の申告書で、問題となる貴金属や書画骨董が申告されているか確認します。
貴金属や書画骨董が申告されている場合、被相続人が相続した可能性が高いため、今回もしっかり申告するようにします。
(税務署においても先代の相続税申告書を確認しているようです。)
生命保険契約等
源泉徴収票
所得税の確定申告書の控え
生命保険控除、損害保険控除によって、生命保険契約、損害保険契約を確認します。
かんぽ生命保険の証明書・現存確認依頼書
かんぽ生命では(解約返戻金額、失効返戻金額、貸付可能額)証明書発行依頼書、現存確認依頼書により、過去10年分の被相続人及び相続人にかかるかんぽ生命契約の契約状況を、照会日において現存する契約及び解約済みの契約を回答してもらえます。
解約されている契約については、解約日・場所・請求人の名前・解約還付金の金額についても紹介ができます。
国外財産
国外財産調書
その年の12月31日において、その価額の合計額が5千万円を超える国外財産を保有する居住者(非永住者は除く)は、翌年3月15日までに当該国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した「国外財産調書」を所轄税務署長に提出する必要があります。
国外送金等調書(同合計表)
2009年(平成21年)4月1日以降、100万円超の海外送金が行われると、為替取引が行われた金融機関等から、その所在地の税務署長に国外送金等調書(同合計表)を提出する必要があります。
100万円超の海外送金は税務署が把握しているため、海外送金の記録がある場合は、送金先等を確認します。
死亡退職金
勤務先の就業規則
勤務先の退職金支給規定
高額療養費
1か月の医療費が一定金額を超えると高額療養費が支給されます。
高額療養費の申請から数か月後に決定通知書が届き、被保険者が死亡している場合は、預金口座に振込まれます。
相続財産の評価
相続税の計算においては、相続財産の評価は財産評価基本通達等に基づいて行われます。
一方、相続人間で遺産分割を行う場合は、何を基準にして相続財産を評価してもかまいません。
例えば被相続人の自宅の宅地。
相続税の計算では、後述するとおり、宅地は路線価又は倍率方式を用いて評価します。
一方、遺産分割協議では、相続人全員が同意すれば、路線価を用いても、固定資産税評価額を用いても、さらには不動産業者に出してもらった評価額を用いても問題ありません。
したがって、相続財産の評価は、相続税の納税以外はどのような評価基準を用いても、相続人全員が同意したものであれば大丈夫です。
土地
公示価格 路線価・倍率方式 固定資産税評価額
公示価格とは、毎年1月1日時点の地点(標準地)1㎡当たりの土地の価格について、国土交通省土地鑑定委員会が地価公示法に基づき算定した価格のことです。
路線価とは、国税庁が不動産鑑定士等の精通者の意見を参考にして、毎年1月1日時点の路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額のことで、相続税の計算において、路線価が定められている地域の土地等を評価する場合に用います。路線価は公示価格の約80%です。
倍率方式とは、相続税の計算において、固定資産税評価額に国税局長が路線価が設定されていない一定の地域ごとに、その地域の実情に即するように定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する方式をいいます。
固定資産税評価額とは、不動産に固定資産税を課税するために市町村が評価するの価格のことで、公示価格の約70%が固定資産税評価額になるのが一般的です。固定資産税評価額は公示価格の約70%です。
建物
建物評価額は、対象となる家屋を再度立て直した場合の建築費用を表す再建築価格から、経年劣化による損耗など、いくつかの影響を加減算することで計算されます。
相続税の計算においては、建物の固定資産税評価額に1.0を乗じて計算するため、固定資産税評価額と同額となります。
相続債務
可分債務の承継
可分債務とは、分割して給付することができる債務のことで、被相続人の借入金債務が典型例です。
可分債務は、各相続人が、法定相続分に従って相続することになります。
したがって、可分債務について、特定の相続人だけが相続するといった相続人間の遺産分割の合意は、相続人間では有効ですが、相続債権者には対抗できません。
連帯債務の承継
連帯債務は、それが金銭債務であるときは、連帯債務者の1人が死亡すると、共同相続人の各自がその持分に応じて分割承継し、その承継した範囲内で、残りの連帯債務者とともに連帯債務者となります。
例えば被相続人が300万円の連帯債務者で、相続人が3人いる場合、各相続人は100万円(300万円/3人)の範囲で、他の連帯債務者とともに連帯代務者となります。
継続的信用保証債務
継続的信用保証債務で、限度額及び期間に定めのないものについては、特段の事情がない限り、保証人の死後に生じた債務について、相続人は保証債務を負担しません。
(最判昭和37年11月9日民集16巻11号2270頁)
一方で、限度額や期間に定めのあるものについては相続すると考えられています。
なお、債権法改正により、極度額の定めのない個人根保証契約は無効とされます。
(民法465条の2第2項)
身元保証債務
被相続人が身元保証人になっていたときの身元保証債務については相続性が否定されています。
なお、相続時に具体的に発生していた債務については相続されることになります。

遺産分割では、特別受益(民法903条)や寄与分(民法904条の2)といった法定相続分の修正要素を考慮しなければならない場合があります。
遺産分割の進め方が分からない、遺産分割でどのような主張ができるのか知りたいという方はオールワン法律会計事務所の弁護士までご相談ください。
弁護士が専門的知識と経験を活かしたご提案をさせていただきます。
正しい知識を持った専門家へ
ご相談ください