解決事例
顧問先の社長から、夫から離婚を求められて困っている親戚の女性を助けてくれないかといわれて紹介されたのがA子さん。
最初電話で聞いた話では、A子さんと夫のBさんは中国地方の某県在住で、二人の間には小学生の男の子C君が一人。
Bさんは大型船の船長をしており1年の半分近くは家を空けています。
Bさんは、A子さんの生活態度がだらしないと言って、離婚を要求しており、現在、A子さんは一人で自宅近くの実家に戻り、C君はBさんの両親が面倒を見ていました。
それから数か月後、Bさんが離婚調停を申立てたという連絡がA子さんからありました。
当事務所が代理人になると交通費がかかるので地元の弁護士を探すように勧めましたが、A子さんの強い希望で当事務所に代理人になりました。
京都から新幹線と在来線を乗り継いで出頭した第1回目の調停期日には、A子さん、Bさん、そしてBさんが依頼した地元の弁護士が出席しました。
申立人(Bさん)が提出した主張書面には、Aさんの生活態度を問題にしたBさんの主張が記載されていました。
A子さんは、そうした事実はないと反論し、両者の主張は平行線でした。
一方、A子さんからは、Bさんに婚姻費用の分担を求める調停を申立て、離婚調停と併合して話し合いを進めることになりました。
その後、調停は期日を重ねましたが、離婚を求めるBさんと、それに応じないA子さんの主張は平行線のままで、申立から1年後、調停は不成立となって終わりました。
それからしばらくして、今度は離婚を求める裁判をBさんが同じ家庭裁判所に提訴し、調停に続いて当事務所がA子さんの代理人となりました。
原告のBさんが離婚原因として挙げたのが、民法770条1項5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」でした。
民法上の離婚原因は同条項の1号から5号まで規定されていますが、1号の「不貞行為」と並んで離婚訴訟で最もよく登場する離婚原因です。
Bさんは調停に続いて、A子さんがだらしなく、C君の面倒をこれまで見てこなかったことが「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたると主張しました。
訴訟の途中、裁判所から和解が打診されましたが、A子さんはあくまで離婚するつもりはないということで、そのまま当事者の尋問手続になりました。
A子さんと何度も電話で打ち合わせを重ねた後の尋問当日、A子さんは、打合せどおりに主尋問を終え、Bさんの代理人からの反対尋問も何とか対応できました。
一方、Bさんへの反対尋問ではBさんの主張の矛盾点を裁判官に印象付けることができました。
その後に出た判決では原告の請求棄却。
離婚に応じないとするA子さんの主張が認められました。
それでもBさんは離婚をあきらめず、今度は隣県にある高裁に控訴してきました。
調停申立からここまでに約2年半。
結構な時間がかかっていますが、A子さんはBさんから婚姻費用を受取っているので生活に困ることはありません。
改めて離婚についてのA子さんの考えを聞くと、財産分与で有利な条件が提示されれば離婚を考えてもよいとのことでした。
第1回目の期日に裁判所から和解についての意向を尋ねられたので、条件次第では和解に応じる旨を伝えました。
その後、期日間にBさんの代理人と交渉を続け、A子さん、Bさん、双方が妥協できるぎりぎりの和解案が完成しました。
そして、訴訟上の和解が成立し、BさんとA子さんは離婚することになりました。
調停の申立から3年、その間A子さんは婚姻費用をもらい続け、最後は相当有利な条件で財産分を受けることができました。
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