解決事例

(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)

Aさん、B子さんは遺言作成の相談で来所されました。

お二人には長男Cさん、次男Dさんがいますが、以前、Dさんが関わる事件処理を当事務所が担当したご縁で今回の訪問となりました。

 

これまでCさん、Dさんには十分な支援をしてきたので、財産は第三者(甲さん、としておきます)に遺したいというのがお二人の希望でした。

お二人には、遺留分という権利について説明しましたが、それでも全財産を甲さんに遺したいということでした。

そこで、その意向に沿った遺言公正証書を作成することになりました。

 

早速、財産の目録を作成することにして、お二人には、必要な戸籍や不動産の全部事項証明書などは全て当事務所で収集するので、どのような財産を所有しているのか教えて欲しいとお願いしました。

お二人は、一旦帰って改めて連絡するといって帰られました。

 

しかし、1週間を過ぎてもお二人からの連絡はありません。

進捗具合の確認を兼ねてお二人に電話したところ、財産目録の作成はもう少し時間がかかりそうとのこと、あまり急かしてもいけないと思い、出来たら連絡して欲しいと伝えて、電話を切りました。

 

ところが、それから1週間後、B子さんが交通事故で急逝したという連絡がAさんから入りました。

コロナ禍でB子さんの葬儀や法要をひっそりと済まされたAさんから再度連絡があったのは、それから1か月後。

Aさんは、生前の意思を尊重してB子さんの財産を甲さんに遺したいと話されましたが、B子さんは遺言を作成する前に亡くなっています。

 

故人が遺言を作成していない場合、相続人が複数いると遺産分割協議が必要となります。

今回は配偶者のAさん、長男Cさん、次男Dさんで遺産分割を行うことになりますが、実はCさんとは20年近く前から音信不通で、現在その生死すら分かっていないことが判明しました。

 

そこで、Cさんの戸籍の附票を取得することにしました。

戸籍の附票とは、本籍地の市区町村で戸籍の原本と一緒に保管されている書類で、戸籍が作成されてから現在に至る住所が記載されています。

同じく住所が記載された書類に住民票がありますが、住民票は住所地の市区町村で管理され、附票は本籍地の市区町村で管理されます。

 

Cさんの附票を取得すると、現在の住所が大阪市内であることが判明しました。

そこで、内容証明郵便をCさんの住所宛てに送付しましたが、しばらく経つと「あて所に尋ねあたりません」として返送されてきました。

Cさんは住所をそのままにして別の所に移転しているようです。

 

Cさんをどのように探そうか思案していたところ、DさんがCさんの友人に次々と連絡を取り、その中の一人からCさんの携帯電話の番号を聞き出してくれました。

早速、Dさんが聞き出してくれた番号に電話をすると、Cさん本人が電話に出てくれました。

母親が亡くなったことを伝えるとCさんはずい分と驚きましたが、遺産分割協議に参加することに同意してくれました。

 

当事務所で行った遺産分割協議には3人全員が参加しました。

20年ぶりの再会で最初ぎこちなかった3人ですが、しばらくすると少しづつ話をするようになりました。

1時間ほど話し合った結果、B子さんの財産は全てAさんが相続することになりました。

複数の不動産をAさんとB子さんが共有していたため、一旦全てをAさんが取得して、その上で遺言を作成して甲さんに遺贈することになりました。

 

今回は、運よくCさんと連絡が取れましたが、もし場合は不在者財産管理人の選任申立や、失踪宣告などを検討する必要があった事例でした。

 

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