解決事例

A子さんは夫のBさんとの間に2人の子がいます。

Bさんは兵庫県の進学校から最難関の国立大医学部を卒業し、勤務医を経て実家のクリニックに戻っていました。

Bさんの父親も医師で、クリニックは診療科目の専門性が高かったこともあり、遠方からの患者が集まり大変な人気でした。

 

A子さんはBさんが勤務医をしていた病院で看護師をしていました。

二人は恋愛結婚をしましたが、何時のころからはBさんのA子さんに対するモラハラがひどくなってきました。

子どもを産み体重が増えたA子さんに対して「みっともないから早う痩せろ」、「外を出歩くな」と罵る。

「お前の父親はただのサラリーマンやろ」、「子どもの勉強のことは全部俺が決める」、「頭の悪い奴はだまっとれ」とA子さんやその両親を馬鹿にする。

 

しかしBさんは「外ずら」は良かったようで、多くの患者さんから「先生」「先生」といって慕われているようでした。

A子さんはBさんから何を言われても子どものために耐えてきましたが、頻繁に罵られることが耐えられなくなり子どもを連れて和歌山の実家に戻ることにしました。

 

しばらくするとBさんは、「お前は帰ってこんでもいいから、子どもだけ引渡せ」と言ってきました。

このままだとBさんが子連れ去るかもしれないと考えたA子さんは、Bさんと離婚することにして当事務所に交渉を依頼しました。

 

早速当事務所の弁護士がBさんに連絡を取ると、Bさんはモラハラの発言をすべて否定し、すべてA子さんの被害妄想であると主張しました。

弁護士によるとBさんは愛想もよく、A子さんから話を聞いていないと、とてもモラハラを行うようには見えなかったそうです。

Bさんが離婚に応じないと主張したため、ただちに夫婦関係調整調停と婚姻費用分担請求調停を家庭裁判所に申し立てました。

 

調停には、A子さんが録音していたBさんのモラハラ発言を反訳して証拠として提出しました。

Bさんは弁護士と一緒に調停に出席し、離婚に応じてもいいが親権は自分が取得すると主張しました。

夫婦関係調整調停が長引きそうな気配だったため、婚姻費用分担請求を先行して進めることにして調停を打ち切って婚姻費用請求を審判移行してもらいました。

 

子の親権については調査官の調査が行われることになりました。

調査報告書によれば、Bさんは自分が親権者にふさわしい理由として、①経済力があること、②子どもの勉強を見ることができること、③子どもに最強の環境を提供することができること、といったことを挙げていました。

調査官はA子さんや子どもたちとも面接を実施しました。

その結果、子どもは現にA子さんの下で暮らしており、今後A子さんが看護師に復職しても実家の援助において子どもを監護・養育できること、看護師に復職すれば経済的にも自立できること、反対に子どもはBさんのことを聞かれると委縮してしまっていること等から、親権者にはA子さんが適当であるとの報告がなされました。

 

親権の取得を双方が譲らない場合、調停が不成立となり訴訟に移行することになります。

全て自分の思い通りにならないと満足しないBさんの性格からは訴訟移行もやむなしと考えていたところ、本件は意外な形で決着しました。

 

調停が開始されてから8カ月たったころ、財産分与を一切請求しないのであれば離婚に応じて親権者もA子さんでよいとの内容の主張書面がBさん側から提出されました。

こうして急転直下で調停離婚が成立しました。

財産分与を条件としたことから見て、Bさんは調停や裁判が長引けば高額な婚姻費用を支払い続けなければならないことに嫌気がさして離婚に応じたのかもわかりません。

 

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