解決事例

(実際の事件の一部を修正してお伝えしています)

Aさんは当初、自筆証書遺言を作成したいと言って来所されました。

2019年1月13日自筆証書遺言の作成要件が緩和され(財産目録の自書が不要となりました)、2020年7月10日から遺言保管所で自筆証書遺言を保管してくれるサービスがスタートするため、最近は自筆証書遺言の作成に関する相談が増えてきています。

Aさんもこうした法改正をきっかけに自筆証書遺言作成の相談に来られたのかと思われましたが、話をお聞きしていると、どうも事情が異なることが判明しました。

 

Aさんは資産家で複数の収益不動産を保有し、金融資産もかなりの額にのぼりました。

取引のある金融機関の担当者からは遺言作成をずいぶん前から勧めれらてきましたが、自分が亡くなった後のことを具体的にイメージできず、遺言の作成はずっとしないままでした。

しかし、小学生のころからの友人が交通事故で亡くなるという事件が身近で起こったため、Aさんは遺言作成の必要性を実感したそうです。

 

さっそく色々は人に相談したところ、遺言を作成するのであれば公正証書遺言が間違いないと勧められました。

しかしAさんが公正証書遺言を作成することのネックとなったのがその費用です。

公正証書遺言は目的の価額(財産額)に応じて手数料が決められており、財産額が大きくなると手数料も多額となります。

 

Aさんは資産家なので手数料くらい払うことはできます。

ただ、Aさんは保有する資産を細かく組み替える等、積極的に運用をしているために保有財産の内容が頻繁に入れ替わります。

保有資産を入れ替えるたびに公正証書遺言を作り替えるとなると、その手数料の総額は結構な額になります。

度々手数料を支払うことが嫌だと言ってAさんは自筆証書遺言の作成を思い立ったのです。

 

確かに自筆証書遺言を自分で作る分には費用は掛かりません。

しかし相当な財産を保有するAさんが、たとえ財産目録は自書しなくてよくなったといっても、何度も自筆証書遺言を書き直すのは大変です。

そこでAさんには秘密証書遺言の作成をアドバイスしました。

 

秘密証書遺言は、作成を弁護士に依頼すれば本人は署名・押印するだけですみます。

最初はイニシャルコストとして弁護士費用が発生しますが、あとは最初の秘密証書遺言を参考に本人が作り替えることは比較的容易です。

さらに秘密証書遺言作成時の公証人の手数料は11,000円の定額のため、Aさんのような資産家の場合、公正証書遺言を作成するより安くつきます。

 

Aさんにはこうした理由を説明して秘密証書遺言の作成をお勧めしたところ、Aさんも乗り気となり、秘密証書遺言を作成することとなりました。

当事務所は作成性の依頼を受けたためその報酬をご請求しましたが、2回目以降は自分で作るとAさんは言っているため、今後は公証人の手数料11,000円だけで遺言の作り直しができそうです。

 

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