解決事例
(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)
A子さんは当事務所のホームページをみて離婚の相談に見えられました。
A子さんとBさんは結婚して10年目の夫婦で、二人の間には子どもはいません。
二人とも滋賀県出身で、現在の滋賀県内で暮らしています。
A子さんによると、Bさんとの離婚を考えるようになったのは、BさんのA子さんに対するモラハラが原因でした。
Bさんのモラハラが始まったのが今から5年ほど前。
当時二人は不妊治療に通っていましたが、治療は上手くいきませんでした。
子どもができないことが分かると、BさんはA子さんに対して、「自分はどこも悪ない。子どもがでけへんのはお前に原因があるんや。」と言い出したのです。
子どもができないことに加え、夫からひどい言葉をかけられたA子さんはずい分と傷つきました。
BさんA子さんに対するモラハラはこの後も続きました。
Bさんは高卒だったA子さんが頭が悪いと罵り、A子さんの両親や高校時代の友人と会った後は決まって馬鹿にして悪口を言いました。
A子さんが作った料理が気に入らないと黙って出て行くこともありました。
A子さんがネットショッピングで間違った商品を注文すると、A子さんのミスをせめて怒鳴り、執拗に説教を繰り返し、最後はA子さんがBさんに土下座して何とか許してもらえました。
一方、Bさんは機嫌がいい時にはA子さんの料理を手伝ったり、ちょっとしたプレゼントをくれたこともありました。
A子さんはBさんのいいところを見つけようと頑張ってきましたが、ここにきてとうとう離婚を決意したとのことでした。
モラハラはその内容は程度によっては裁判証の離婚原因である「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当することがあります。
しかし、モラハラがやっかいなのは、加害者である夫に罪の意識がないことです。
むしろ夫は、自分は正しい、自分は妻の間違いを正してやっていると、自分の行為を正当化していることが少なくありません。
さらには、夫による典型的なモラハラも、個々の行為だけ取り出してみると、妻の人格を否定したとまでは言えないことが多いのです。
モラハラは反復かつ継続することにより被害者を苦しめることになります。
そこで、A子さんにはモラハラの証拠として、Bさんが、何時、何処で、何を言ったのか(したのか)を記録するように言いました。
記録は録音や動画で残すことができればいいのですが、Bさんの前でA子さんが録音や録画をすることは非常に困難です。
そこでA子さんには、Bさんからモラハラ被害を受けたら、その日のうちにモラハラの内容を詳しくメールで知人にメールを送って、そのメールを残しておくように指示しました。
裁判になった時、一つや二つのメールではモラハラの証拠にならない可能性が高いですが、何十、何百のメールがあれば裁判所がBさんのモラハラを認定してくれる可能性が高くなります。
A子さんはこの指示を守ってそれから何カ月物間、Bさんからモラハラを受けたらその日のうちにその内容を知人にメールで送りました。
その後、A子さんが申立人となり、Bさんを相手方として、家庭裁判所に夫婦関係調整調停を申立てました。
調停では、A子さんが知人に送ったメールをプリントアウトしてBさんのモラハラの証拠として提出しました。
本件はその後、調停は不成立となり、A子さんが離婚訴訟を提起することになりました。
訴訟でも同様の証拠を提出したところ、最終的には二人の話合い(和解)で離婚が成立しました。
A子さんが最初に相談に来られてから離婚まで1年数カ月かかった事件でした。
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