解決事例

(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)

 

A子さんは元夫のBさんのDVが主な原因で離婚しました。

二人は一人娘のC子さんの親権者をA子さんと決め、財産分与や養育費の取決めを行わず、2年前に離婚しました。

離婚をするまで、Bさんは、何度かA子さんを平手で叩いたり、スマホを投げつけたり、あるいはA子さんの人格を否定する発言をしましたが、C子さんに手を上げることはなかったそうです。

 

離婚してからこの2年間で、C子さんの預け先も決まり、A子さんも正社員の職を得て二人で暮らしてきました。

ところが、ここにきてBさんから、C子さんとの面会交流の申立がなされたのです。

A子さんは家庭裁判所からの申立書の送付を受けて、結婚していたころのDVが思い出され、どうしたらいいのか分からなくなり相談に来られました。

今は二人で暮らしているのでこれ以上Bさんに生活を乱されたくない、面会交流は行ないたくない、というのがA子さんの考えでした。

 

当事務所の弁護士はA子さんの代理人として面会交流の調停に出席しました。

A子さんには面会交流に加えて、C子さんの養育費をBさんに支払ってもらう調停申立を助言し、二つの調停は併合されました。

調停委員では、離婚原因がBさんのDVであること、現在A子さんとC子さんは平穏な生活を続けており、A子さんはいまさらBさんに現在の生活を乱されたくないと考えていることを説明し、面会交流の実施には反対であると伝えました。

調停委員がA子さんの考えや希望をBさんに伝えたところ、Bさんは、昔のことは心から反省しているし、二人の生活を乱すつもりはないので、ぜひC子さんに会わせてほしいと話したそうです。

同席していた家庭裁判所調査官は、A子さんに、父との面会交流はC子さんに健全な成長にとって役立つこともあるので、試験的な面会交流を実施してはどうかと提案しました。

Aさんは少し考えたいといってその日の期日は終了しました。

 

次回期日でA子さんは、C子さんにBさんから危害が加えられないことを条件に、試験的面会交流の実施に同意しました。

日を改めて調査官がC子さん、Bさんと個別に面談し、A子さんの同意を得て調査官立会いでC子さんとBさんの面会交流が行われました。

調査官の報告書によれば、当初緊張した様子で口をきかなかったC子さんも、徐々に緊張がほぐれ、最後はBさんに保育園での出来事を話したということでした。

一方、Bさんも2年ぶりの娘との再会に喜んでいる様子で、これからも面会交流を続けていきたいと話していたそうです。

 

こうした試験的面会交流を経て、A子さんがC子さんを面会場所まで連れていきBさんに引き渡す面会交流が始まりました。

最初は3時間程度、二人の自宅から比較的近くのショッピングモールを面会交流の場所としました。

A子さんはどうしても一人でBさんと会いたくないということのため、初回だけ弁護士がA子さんに一緒についていきました。

2年ぶりに顔を合わせた二人はぎこちない様子でしたが、最初の面会交流は無事に終了しました。

その後、どうしてもとA子さんに乞われて次の面会交流にも弁護士が一緒についていきましたが、A子さんの心配は杞憂に終わり、2度目の面会交流も無事に終了しました。

 

このようにして、BさんとC子さんの面会交流は短時間ではありますが、実現されました。

Bさんは将来的に宿泊を伴う面会交流を希望されているとのことですが、A子さんがBさんを信頼してC子さんを預けるようになるまでは相当な時間がかかりそうです。

なお、養育費の調停は成立し、現在Bさんから養育費は支払われています。

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