解決事例

(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)

 

A子さんが相談に来られたのは離婚した元夫Bさんの相続についてでした。

A子さんとBさんは5年前に離婚し、二人の息子はA子さんが親権者として引き取りました。

その後、Bさんは再婚しましたが、A子さんは二人の息子さんと三人で暮らしてきました。

ところがこの度、Bさんが交通事故で急逝してしまいました。

 

相続人はBさんの再婚相手のC子さん、そして未成年の二人の息子D君、E君の三人、相続財産はローンが残っていたマンションと車、そして預貯金でした。

Bさんは遺言を残しておらず、したがって相続財産は相続人の協議により分割することになります。

Bさんが亡くなってから1カ月後、C子さんから、Bさんの遺産について相談したいとA子さんの下に連絡が入りました。

 

D君、E君はいずれも未成年者のため、単独で遺産分割協議に参加することができません。

普通の法律行為であれば、親権者であるA子さんがD君とE君の法定代理人として二人の代わりに法律行為を行います。

しかし、遺産分割協議では、A子さんはD君、E君二人の代理人になることはできません。

一定の相続財産を相続人間の協議で分割する遺産分割では、特定の相続人の相続分が増加すると、他の相続人の相続分が減少するなど、相続人間には利害関係の対立が生じています。

したがって、仮にA子さんがD君の代理人となってしまうと、重ねてE君の代理人になることはできないのです。

 

こうした場合、A子さんが代理できないE君については家庭裁判所で特別代理人を選任してもらい、特別代理人がE君に代わって遺産分割に参加することになります。

特別代理人が誰になるのかについては特に決まりはありませんが、未成年者と関係や利害関係の有無などを考慮して適格性が判断されます。

申立人(本件ではA子さん)が推薦する者の中から家庭裁判所が選任するのが一般的です。

本件では、A子さんの父、すなわちE君の祖父を特別代理人の候補者として家庭裁判所に申立をしたところ、そのままE君の祖父が特別代理人に選任されました。

 

マンションは、ローン名義人であるBさんが加入していた団体信用生命保険によってローン残を完済したので預貯金とローンが残った車が遺産分割協議の対象となりました。

後妻のC子さん、D君の代理人のA子さん、そしてE君の代理人の祖父の三人は協議を行い、マンションとローンの残った車はC子さんが相続することにして、残りの金融資産をD君とE君で半分ずつ相続することになりました。

 

本件では離婚と相続が重なりましたが、特別代理人選任を速やかに行ったため、Bさんが亡くなってから半年ほどで遺産分割協議は終了しました。

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