解決事例
(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)
A子さんの相談は離婚後に夫のBさんとの離婚に関するものでした。
夫のBさんは歯科医師でテナントビルで開業しています。
二人の間には高校生になるC君がいて、将来医学部への進学を希望しています。
離婚の原因はBさんの不貞行為で、不貞行為が発覚してからは、A子さんC君を連れて自宅を出て、Bさんと別居しています。
Bさんは過去にも不貞行為を行ったことがあり、A子さんは今回の一件でいよいよ離婚を決意したということでした。
Bさんは不貞行為が発覚した直後は、A子さんに謝罪して離婚を思いとどまるように説得したそうですが、別居をして数カ月が過ぎると、A子さんへの連絡もほぼ無くなったそうです。
そうした中、弁護士を通じてBさんから離婚に関する話し合いをしたいとA子さんに連絡があったそうです。
A子さんは、Bさんが弁護士に委任したので、自分も弁護士に依頼したいと考えて当事務所に相談に来られました。
本件では、A子さん、Bさんともおおむね離婚自体に合意しているため、あとは財産分与や慰謝料、そして別居期間中の婚姻費用と離婚後の養育費といった経済的な問題を解決する必要があります。
Bさんの弁護士とも相談した結果、こうした問題を解決するために家庭裁判所の調停を利用することとしました。
まずはA子さんとC君の生活費を確保するため、Bさんに対して婚姻費用の請求を行いました。
C君は関西でも有数の私立の進学校に通っているため、その学費や予備校の授業料についてもBさんに応分の負担を求めることにしました。
現在C君が通う学校は、もともとBさんの強い勧めがあって進学することになったという事情もあり、A子さんの婚姻費用の請求は概ね認められることになりました。
慰謝料については、Bさんの強い希望もあり、慰謝料という表現を避けて財産分与と一緒に解決する(A子さんに多めに財産を分与する)ことになりました。
最後はC君の養育費です。
C君は医学部への進学を希望しており、仮に私立の医学部へ進学するとなると6年間の学費はそれこそ何千万単位でかかります。
裁判所の算定表で算出した養育費の金額ではA子さんが到底負担することができない金額のため、やはりBさんへの相応の負担を求めることにしました。
代理人の話によると、BさんもC君には医学部に進学して欲しいが、実際には医学部に受かるか分からないので、学費等の負担については進学後に改めて相談したいとのことでした。
たしかに普通の大学と医学部の学費には大きな開きがあり、医学部内でも国公立と私立では学費が大きく異なるため、今から私立の医学部の学費を前提に養育費を金額を算定することは無理があります。
しかし、養育費の調停条項に、学費については医学部進学後に協議するといった協議条項を入れるだけでは、Bさんが本当に学費等を負担してくれるの分かりません。
そこで、C君が21歳となる月を含む年度の末までに医学部に進学した場合(3浪までは許されるということです)は入学金及び6年間分の授業料をBさんが半分負担する、医学部以外に進学した場合は算定表による養育費をC君が22歳となる月を含む年度の末まで支払うことを提案しました。
調停条項の作成にあたっては細かな修正がありましたが、概ねこの内容で合意することができました。
本件では父が歯科医師で、子の医学部進学への理解を得られたこと、経済的にも裕福だったことが比較的早期の解決につながった原因だと思われます。
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