解決事例

(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)

 

金融機関で当職が行った事業承継セミナーを聞いたといって、Aさん事業承継と相続税対策に相談に見えられました。

 

Aさんが会長と務め、長男が社長を務めているのはAさんが創業した精密機械部品メーカーです。

創業当時は業績が良かったのですが、最近では不況のあおりを受けて業績不振が続いていました。

それでも業績が良かったころにAさんは資産を築くことができ、その金額は数億円となっていました。

 

Aさんの相談は、社長である長男への自社株の移転についてと、相続税対策でした。

Aさんの家族は、妻と長男、そしてその下に次男と長女の5人家族です。

次男と長女は会社員で家業とは別の仕事をしていました。

現在、会社の株式はAさんが70%、長男が30%を所有しており、いずれ所有している株式は全て長男に渡したいが、もうしばらく会社の実権は握っておきたいというのがAさんの希望でした。

 

Aさんに確認すると、遺言は作成していないということなので、いまAさんに相続が発生すると遺産は家族の話合いで分割されるため、長男が自社株式を確保できる保障はありません。

そこでAさんと相談の上、遺言を作成して何時相続が起こっても自社株式を長男が相続できるようにしました。

 

会社は業績不振が続いているので現在なら自社株式の評価が低くなっている可能性があります。

そこで決算書を預かり自社株式の評価額を算定したところ、案の定評価額が低くなっていました。

そこで自社株式は評価額が低いうちに長男に移すことにしました。

移転方法は、相続時精算課税を使った贈与か、長男の買取りが考えられますが、相続時精算課税を使って贈与をすると、相続時に特別受益の問題が生じる可能性があります。

そこで、買取資金をAさんから長男に貸付け、一気に長男が自社株式を買い取ることにしました。

長男からAさんへの返済原資は、、長男の役員報酬を増額することでねん出することにしました。

 

一方、Aさんの希望はもう少し会社の実権を握っておきたいというものでした。

そこで定款変更をして会社を種類株発行会社にした上で、拒否権付株式を発行してこれをAさんが保有し、その他の株式を長男に譲渡することにしました。

Aさんの遺言には拒否権付株式は長男に相続させると記載しました。

 

最後の相続税対策については、相続税の実質税率を算定して、その実質税率より低い実質税率でAさんの家族に生前贈与することにしました。

また、遺言で会社に現金を遺贈することにしました。

会社に遺贈した金額は、相続税の計算から除外されます。

この場合、受遺者である会社には法人税が課税されますが、繰越欠損金が使えれば遺贈を受けても法人税の負担はかかりません。

 

こうして現時点で聞きうる限りの事業承継対策と相続税対策をAさんと相談をしながら実行しました。

Aさんが元気で長生きすればするほど生前贈与が続けることができ、相続税対策の効果が上がります。

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