解決事例
(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)
AさんはB子さんと3年前に離婚しました。
離婚の際、二人の子どもで当時高校1年生だったC子さんの養育費についても家庭裁判所の調停で合意をして、Aさんは裁判所の算定表より3万円ほど高い金額を支払ってきました。
Aさんによると、算定表より高い養育費を支払ってきたのは、C子さんが大学進学する際の入学金等をB子さんが準備できるようにするため、とのことでした。
AさんはB子さんとの離婚後、別の女性と再婚しています。
今回、B子さんから、Aさんに対して、C子さんの大学進学の際の入学金に必要であるとして、養育費の増額の請求がありました。
Aさんが、B子さんに、これまで入学金の準備ができるよう高い養育費を支払ってきたというと、B子さんは、そんな話は初めて聞いたと反論してきたそうです。
B子さんの請求が納得できないAさんは、当事務所にB子さんとの交渉を依頼しました。
B子さんに連絡するにあたり、離婚時の調停調書を確認してみると、確かに大学入学金に備えて養育費を増額するといった文言は記載されていませんでした。
一方で、養育費の支払は、C子さんが22歳となる月が属する年度末までとされ、増額はしないと明記されていました。
そこでB子さんに連絡を取り、調停調書に増額しないと明記されている点を指摘すると、B子さんは離婚後に事情が変わったと主張しました。
B子さんによると、Aさんから受け取っていた学費は、C子さんの高校の学費のほか、予備校の学費に費消したということです。
離婚後にC子さんを予備校に通わせることにしたところ、予想外の費用がかかったというのがB子さんの主張でした。
B子さんの主張をAさんに伝えたところ、離婚時にC子さんが予備校に行くことは想定されており、それでもなお大学の入学金が準備できるように養育費の金額を決めたとの事でした。
改めてB子さんに養育費の増額請求には応じられないと伝えると、しばらくしてB子さんが養育費増額の調停を申立ててきました。
調停では、B子さんの主張が、扶養に関する協議又は審判の変更又は取消しを規定する民法880条の「扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたとき」にあたるのかが争点となりました。
調停においてもB子さんは従来の主張を繰り返しました。
しかし、離婚当時、既にC子さんは塾に通っていました。
離婚後にC子さんは別の予備校に通うことになりましたが、学費はそれまでの塾の者と比較して2割程度増えたにすぎません。
したがって、予備校の学費の増加は離婚当時当然予見できた事情の変化であり、それが現実化したに過ぎないと指摘しました。
調停委員、そして裁判官もこちらの主張に概ね理解を示して、B子さんに対して増額請求は認められないと伝えてくれました。
こうしてB子さんの請求は排除しました。
調停では最後になってAさんが、やはり娘のために何かしてやりたいといって、C子さん名義の口座に振り込むことを条件に入学金の一部を支払うことにしました。
この支払については、Aさんの再婚相手の女性も賛成していたようでした。
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