解決事例

(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)

 

Aさんは妻B子さんとの離婚についての相談で来所されました。

二人は結婚して10年で小学生になる男の子C君がいます。

Aさんは京都出身で、市内の実家には両親が暮らしていました。

一方、B子さんは九州の出身で、両親は既に亡くなっており、関東で暮らす兄が一人いました。

 

AさんによるとB子さんは情緒不安定で、不定期に心療内科に通院していました。

感情の起伏が激しく、些細なことでAさんやC君に大声を上げたかと思うと、ほとんど口をきかない日が何日も続くことがありました。

C君はこうした母親を見ているせいか、常に何かにおびえている様子でした。

 

C君が小学生となった数年前、AさんがB子さんに離婚話を切り出すと、B子さんは何も言わないでしばらく泣き続けたそうです。

Aさんは今までC君のために離婚話を再び持ち出すことはしませんでしたが、ここにきてB子さんと一緒に暮らすことに限界を感じて離婚を決意したそうです。

Aさんが離婚にあたって唯一望んだのはC君の親権者となることでした。

Aさん自身は仕事が忙しくて家に帰れるのは毎日夜の8時、9時でしたが、幸い近くに両親が暮らしているので自分が仕事から帰るまで両親にC君の面倒を見てもらうつもりでした。

 

AさんはまずC君を連れて実家に戻り、B子さんと別居をすることにしました。

C君にはお母さんとはしばらく会えないけど、きっとまた会えるようになると話したそうです。

その上でAさんは家庭裁判所に調停を申立て、当事務所に代理人を依頼してきました。

 

調停ではB子さんも弁護士を代理人にして離婚に関する話し合いが始まりました。

B子さんは当初、離婚には応じないと話していましたが、AさんがB子さんの今後の生活を考えて財産分与でかなり譲歩するとしたこともあって、離婚については応じてもらえそうな状況になりました。

しかし、C君の親権についてはB子さんも譲らず話し合いは平行線となりました。

そこで調停委員と相談の上、家庭裁判所調査官に調停に参加してもらうこととしました。

調停委員はAさん、B子さん、C君、そしてAさんの両親と面談し、親権者としてAさんとB子さんいずれがふさわしいのか調査が始まりました。

 

一方、離婚をしてもB子さんがC君と定期的に会えることを分かってもらうため、こちらの提案でB子さんとC君の面会交流を行うことになりました。

数か月後、家庭裁判所調査官が裁判官に充てた調査報告書には、C君がAさんの自宅で暮らすことについて特段の問題はないと記載されていました。

Cくんも祖父、祖母によく懐いており、B子さんと暮らしていたころに比べると情緒が安定しているとも記載されていました。

 

B子さん自身も相当な葛藤があったと思われますが、この調査報告の結果や、調停委員、さらにはB子さんの代理人がC君のためにAさんを親権者とした上で、これからも面会交流でC君との関係を築いていってはどうかと話してくれたこともあり、最終的にはAさんが親権者となることにB子さんも納得してくれました。

 

このようにして調停から約1年ほどでAさんとB子さんの離婚は成立し、C君は親権者となったAさんと暮らすことになりました。

本件では、B子さんの情緒面に問題があったこと、C君の監護に対するAさんの両親のサポートが期待できたこと、早期にB子さんとC君の面会交流を実施してB子さんが今後もC君との関係を続けることができると安心したことが、Aさんが親権を取得できた大きな理由だと思われます。

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