解決事例

(実際の事件の一部を修正して紹介しています)

 

相談に来られたAさんは、B子さんと2年前に協議離婚して以来、養育費として月々15万円を支払ってきました。

 

Aさんは京都一の繁華街でバー3軒を経営しており、手取りの収入が多い年で1000万円を超えていました。

 

離婚する際、AさんとB子さんは養育費について話し合い、①Aさんが、月額15万円を子が18歳になるまでB子さんに支払うこと、②学費や医療費で特別な出費がある場合はできるだけAさんが協力すること、を合意しました。

 

離婚後、Aさんが経営するバーの売り上げは順調に推移しており、昨年(19年)末には4軒目のお店を出そうと近隣の飲食店用のテナント物件を回り始めていました。

 

ところが今年に入ってコロナの影響が出始めました。

2月くらいまでは前年と同じ売上が確保できましたが、3月には客足が半減し、京都に緊急事態宣言が出た4月以降には客足がピタッと止まりました。

 

Aさんは4月以降も店の営業を続けていましたが、全てのお店で客が0の日が続き、少しでも人件費の負担を減らそうと営業を取りやめ、アルバイトの従業員の大半を解雇しました。

 

Aさんは手元資金があまりなかったため、お店の資金繰りに奔走していました。

そんな中、B子さんからラインで、3月分の養育費支払われていないので至急払ってほしいというメッセージが届きました。

 

Aさんは、お店が大変な状況なので養育費は当面支払えないと返信しました。

しかし、働いていないB子さんから、4月分の養育費が支払われない場合は裁判を起こしてAさんの預貯金を差押えるという連絡が返って来ました。

 

万が一でも預貯金が差し押さえられるとお店の経営ができなくなると考えたAさんは、B子さんの要求にどのように対処したらいいのか相談に来られました。

 

Aさんには、養育費の取決めについて公正証書や調停調書がない本件では、B子さんが法的手段をとるには調停の申立から行う必要があり一定の結論が出るまで相当な時間がかかることを説明しました。

(当時はコロナの影響で裁判手続が止まっており、仮にB子さんが養育費分担調停を申立てても何時調停期日が指定されるのか分からない状況でした)

 

その上で、養育費を支払う気持ちがあるのか、あるとすればいくらなら支払うことができるのかAさんに確認すると、5万円なら何とか支払うことができるということでした。

 

Aさんの依頼を受け、さっそくB子さんに連絡をして、Aさんの現在の窮状を説明した上で養育費を5万円支払いたいと提案しました。

 

B子さんは当初、コロナと養育費の支払は関係がない、養育費の支払がないと生活ができないと感情的に反論してきました。

 

そこでB子さんには、①Aさんが養育費を自発的に支払わないと裁判手続が必要となるが、それには相当な時間がかかり、B子さんが養育費を受け取るのはだいぶん先になること、②仮にAさんの預貯金を仮差押えしようとしても、Aさんが預貯金を引出すと困難になること、③そもそもAさんが破産すると、事実上養育費の支払ができなくなること、を説明しました。

 

B子さんはなかなか納得してくれませんでしたが、その後何度か交渉を重ね、最終的には、①養育費を1年間に限り月額で7万円とすること、②最初の支払時には未払分を一括して支払うこと、③1年後に養育費について再度協議することで合意できました。

 

Aさんのお店が今後どうなるのか分かりませんが、状況次第では1年後の交渉でさらに養育費減額を請求する必要があるかもわかりません。

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