解決事例

(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)

 

A子さんは、10年前に職場で知り合ったBさんと、6年前から一緒に暮らしてきました。

婚姻届こそ提出していませんでしたが、事実上夫婦として暮らしており、新たに借りたマンションの契約書にもA子さんは「妻(内縁)」と記載されていました。

 

職場でも二人の関係は公認であり、職場の同僚の披露宴にも二人揃って出席していました。

 

入籍しないのはBさんが結婚という枠組に縛られることが嫌だから、ということでした。

A子さんも、入籍のことは子どもができたときに考えればいいと思い、Bさんに対して入籍を求めたことはありませんでした。

 

ところが、半年前、突然BさんはA子さんに対して別れ話を切り出してきました。

理由はA子さん以外の別の女性を好きになったからというもの。

 

さらにA子さんが驚いたのは、相手の女性は既に妊娠しており、生まれてくる子のためにBさんはその女性と結婚するつもりであるという話でした。

 

毎日一緒に暮らしてきて、A子さんはBさんが別の女性と深い関係になっていたことに全く気が付きませんでした。

 

話に驚き、心の底から怒りを感じたA子さんは絶対にBさんを許さないと決めたそうです。

Bさんに対して、自分以外の女性と結婚することなど許さない、もし別れるなら慰謝料として1,000万円払え、とその場で言ったそうです。

 

Bさんは何も言わずにそのまま家を出て、その日の晩は帰って来ませんでした。

翌日、A子さんが仕事に行くとBさんは出勤していませんでした。

 

嫌な予感がして定時に職場を出て自宅に帰ると、Bさんの荷物はあらかた運び出されていました。

Bさんに電話をしてもつながらず、次の日からBさんは仕事に来なくなりました。

 

数日後、職場の上司に呼び出されたA子さんは、Bさんが仕事を辞めたことを聞かされました。

しばらくすると家庭裁判所から内縁関係調整調停の呼出状が届きました。

 

Bさんは、A子さんが、結婚相手の女性や生まれてくる子に危害を加えることを恐れて調停を利用して円満にA子さんとの内縁関係を解消しようと考えたようでした。

 

依頼を受けた当事務所の弁護士はA子さんと一緒に調停に出頭しました。

A子さんは、Bさんに対する未練は一切ないということでしたので、財産分与とBさんに対する慰謝料に争点を絞って調停を進行するように調停委員に要請しました。

 

A子さんとBさんは、自分たちの給料をそれぞれの銀行口座で管理し、必要に応じて二人で生活費を負担していたため、相互に分与する財産はなく、争点は慰謝料の額でした。

 

A子さんは、Bさんに対して、1,000万円の慰謝料を口頭で請求しましたが、A子さん自身、1,000万円という金額が現実的でないことは分かっていました。

 

そこでA子さんと相談の上、300万円の慰謝料を請求することにしました。

調停委員は二人ともA子さんに同情的で、Bさんを説得してくれたようでした。

 

Bさんは弁護士に相談している様子で、100万円までなら慰謝料を支払えるということでした。

しかしA子さんは、100万円の慰謝料など論外であると言って300万円という金額に拘りました。

 

最終的にBさんは200万円までなら慰謝料を支払うことができるが、それ以上の金額を要求するなら裁判でも何でもしてくれと言ってきました。

 

訴訟を提起すると時間とさらなる費用が必要となります。

A子さんもまだ若いので、Bさんのことなど忘れて新しい生活をスタートした方がいいのではないかとアドバイスすると、後はお任せしますということになりました。

 

調停は、BさんがA子さんに慰謝料300万円を支払って内縁関係を円満に解消することで成立しました。

オールワンへの
お問い合わせ・ご相談予約