解決事例

(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)

 

夫のBさんから離婚調停を申立てられたA子さんが当事務所の依頼者でした。

離婚協議中からA子さんの相談を受けていたので、第1回目の調停期日から弁護士が代理人として、A子さんと一緒に調停に出席しました。

 

Bさんが主張する離婚原因は、①2人の間に離婚に関する合意があったこと、②A子さんが十分な家事を行ってこなかったこと、③2人の性格の不一致等でした。

 

対してA子さんは、①Bさんに離婚に応じると話したことがあるが、それはBさんに脅されたためで真意ではないこと、②家事は人並みに行っていること、③性格の不一致は程度の問題であり離婚原因にはあたらないこと、と反論しました。

 

A子さんに離婚する意思がなかったため、調停は2回目の期日で不成立となりました。

しかし、しばらくするとBさんは弁護士を代理人として離婚訴訟を提起していきました。

 

訴状でBさんが主張する離婚原因は、ほぼ調停での主張と同様でした。

Bさんは自らの主張を補充するため、調停では提出しなかった新たな証拠を相当な数提出しました。

 

さっそくA子さんとBさんの主張と提出証拠について検討したところ、調停では聞いていなかったA子さんにとって不利な事実が判明しました。

 

そこで訴訟では、原告の請求を棄却するように求めるとともに、念のために附帯請求で財産分与を求めることにしました。

 

弁論準備手続でBさん・A子さん双方から財産分与の対象となる資料が提出されました。

A子さんが資料を確認すると、その中には以前見かけたBさん名義の〇〇銀行の通帳が含まれていませんでした。

 

さっそくBさんの代理人にその点を指摘したところ、本人に確認したが〇〇銀行とは取引がないとの返答が返ってきました。

 

A子さんにそのように伝えると、口座番号や支店名は忘れたが、間違いなく〇〇銀行のBさん名義の通帳を見たということなので23条照会を利用してBさん名義の口座の有無を調べることにしました。

 

23条照会とは、弁護士法23条の2の「弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる」に基づくもので、〇〇銀行にBさんの口座の有無及び取引履歴の照会をすることができます。

 

早速、23条照会を実施したところ、〇〇銀行からは、顧客のプライバシーに関するため照会には応じられないとする連絡がありました。

 

金融機関は23条照会に応じるのが普通ですが、口座名義人から予め照会に応じないよう要請が入っていた場合などには対応に応じないこともあるようです。

 

そこで改めて裁判所に対して調査嘱託を申立てることにしました。

調査嘱託とは、当事者の申立に基づき、裁判所を通じて当該機関に情報を開示させる制度です。

 

23条照会には応じない金融機関でも、公的機関である裁判所の調査嘱託には応じてくれます。

本件でも〇〇銀行は調査嘱託に対して、Bさんが口座を有していることや取引履歴を開示してくれました。

 

こうしてBさんが隠匿していた〇〇銀行の預金を突き止めることができました。

もっとも本件は、その後判決となり、Bさんの訴えは棄却されました。

 

調査嘱託によってBさんの財産を調べたことは結果として無駄となりましたが、別居中のA子さんは、Bさんから婚姻費用の支払いを受け続けています。

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