解決事例
(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)
A子さんは東南アジアに単身赴任している夫と離婚したいといって相談に来られました。
夫のBさんは銀行員で、2人の間には大学生の子どもがいます。
Bさんは国内で勤務している時も単身赴任で全国を転々としており、自宅に帰ってくるのは年に数回だけでしたが、定期的に生活費をA子さん名義の口座に振り込んでくれていました。
絵画に赴任した当初はそれまで同様に生活費を振り込んでくれましたが、子どもが大学に入学したころから生活費の振り込みが滞りがちとなり、現在は全く生活費を振り込んでくれません。
Bさんがたまに自宅に帰っても、A子さんとの間にはもう何年も会話がありませんした。
Bさんは息子さんに自分と同じように一流大学に進学して欲しいという希望を持っていましたが、芸術系の大学に進学すると、息子さんとの会話もなくなったとのことでした。
A子さんによれば、Bさんは息子さんが芸術系の大学に進学したのはA子さんが原因であると考えていて、息子さんの大学進学のころから生活費の振り込みが止まってしまったということでした。
A子さんがメールで生活費の振込を依頼しても、自分達で決めた大学なのだから、学費も自分達で支払うようにという返信があったということです。
話を聞く限りでは、Bさんの一連の行動は裁判上の離婚原因である「悪意の遺棄」にあたります。
自宅に帰らないだけでなく、生活費を入れず婚姻費用分担義務に反することも悪意の遺棄になります。
問題は手続の進め方でした。
協議で離婚できないと、海外にいるBさんが調停や裁判に出席することは困難です。
Bさんとはメールや電話でやり取りをして何とか協議離婚を成立させないと、調停や訴訟になると離婚できるのは何年も先になる可能性があります。
そこでまず、A子さんからBさんに対して、弁護士に携帯電話番号とアドレスを教えていいのか、許可を取ってもらいました。
許可をもらってから、Bさんにメールで受任の挨拶をして、電話ができる時間帯を聞きました。
返信はその日のうちに届き、連絡可能な時間帯が記載されていました。
指定された時間帯に電話をすると本人が出て、A子さんから何を依頼されたのか質問されました。
A子さんからの依頼の経緯を説明し、生活費を送金しない理由を聞くと、やはり息子さんが自分の希望とことなる大学に進んだので、援助を打ち切ったという説明でした。
Bさんには夫婦、家族である以上、相互に扶助義務があることを説明したところ、Bさんの口から離婚の話が飛び出してきました。
こちらとしては願ってもない話です。
さっそくA子さんと相談して、Bさんの気が変わらないうちに、こちらで準備した離婚届を郵送し、署名押印をもらって市役所に提出することにしましました。
協議離婚の手続と並行して、A子さんの財産分与請求権を確実にするため、Bさん名義の不動産の仮差押えを申立て、こちらも無事に裁判所から発令を受けました。
財産分与等についての問題はいまだ解決していませんが、A子さんの希望どおり、Bさんと離婚することはできました。
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