解決事例

(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)

 

養育費の相談に来られたA子さんによると、元の夫Bさんと離婚する際、一日でも早く離婚に同意してもらいたいこともあり、Bさんは離婚後に子Cさんへの養育費を支払わなくてよいと合意したそうです。

 

離婚当時A子さんは派遣社員としてコールセンターに勤務していましたが、いわゆる派遣切りに合い、現在は2つのパートを掛け持ちしながら生活しているということです。

 

こうしたA子さんからの依頼は、養育費を支払ってもらうようBさんと交渉してもらいたいというものでした。

 

そこで、まずA子さんに確認したのはBさんの資力でした。

仮に養育費を請求できたとしても、そもそも義務者のBさんに資力がなければ実質的に請求する意味がありません。

 

A子さんによると、Bさんは中小企業ではあるが安定的な職場で働いており、養育費を負担する資力は大丈夫ということでした。

 

そこで当事務所がA子さんの代理人として、Bさんに対して養育費の支払を求めて交渉することになりました。

 

早速、Bさんに内容証明郵便で受任通知を送付したところBさんから電話がありました。

Bさんは、離婚の際に養育費を支払わないことでA子さんと合意しており、合意内容を記した書面もあると言って、支払には応じられないと言ってきました。

 

しかし、A子さんとBさんとの合意には問題がありそうです。

まず親権者であるA子さんが、代理人として、C君がBさんに対して有している扶養請求権と放棄することはできません。

民法881条は「扶養を受ける権利は、処分することができない。」と明記しています。

 

またA子さんが、C君の代理人としてではなく、Bさんと養育費の分担について合意したとしても、その合意の効力はあくまでA子さんとBさんにのみ及びます。

したがって、そうした合意があっても、C君のBさんに対する扶養請求権は影響を受けません。

 

こうしたことをBさんに説明しましたが、Bさんはなかなか納得してくれませんでした。

そこでBさんに対して、調停を申立てることと、調停には協力してほしいことを伝えると、Bさんは調停への出席を約束してくれました。

 

さっそく家庭裁判所に調停を申立てたところ、約2か月後に最初の期日を迎えました。

約束どおり調停に出席したBさんは、調停委員から同じ説明を受け、養育費を負担する必要があることを理解したようでした。

 

2回目の期日では、A子さんBさん双方の収入が分かる資料を持参し、算定表を基に養育費の金額が話し合われました。

 

そして3回目の期日において、Bさんが養育費を支払うこととその金額について合意できました。

実は2回目の期日で、Bさんから養育費は必ず支払うから申立を取り下げてほしいという要望がありました。

 

しかし調停での合意事項に基づき調停調書を作成しておけば確定判決と同一の効力が認められるため、強制執行等に着手する場合に有利となります。

 

そこで調停を継続し、調停調書を無事に作成することができました。

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