解決事例

(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)

 

Aさんからのご依頼は、母の預貯金を弟のBさんが使い込んでいる可能性が高いので、至急対応してほしいというものでした。

 

Aさんによると、Bさんとは普段から折り合いが悪く、5年前のお父さんの相続でも意見が対立して遺産分割協議が難航しました。

 

お父さんが亡くなった後、お母さんはAさん家族と一緒に暮らしていましたが、1年前にBさんが半ば無理やり連れ出し、現在はBさんが契約したBさんの自宅近くのケアホームに入居しているとのことでした。

 

1週間ほど前に面会に行った際、Aさんがお母さんの通帳を確認すると、50万円単位の出金が複数確認できました。

 

Aさんによれば、お母さんはケアホームに入居しているので多額の現金を引き出す必要がない。

Bさんがキャッシュカードを利用して、ATMから一日あたりの限度額まで預金を引き出しているに違いないとのことでした。

 

Aさんが持参した通帳のコピーを見ると、確かにここ直近の1か月で合計500万円ほどの現金が、50万円ずつ引き出されていました。

また、お母さんは認知症の症状がでてきているということでした。

 

こうしたAさんからの依頼を受け、当事務所ではお母さんの口座がある金融機関に連絡をとり、事情を説明した上で出金停止の依頼を行いました。

その上で、金融機関が指定した書面を提出し、ひとまずお母さんの口座から預金が引き出されないようにしました。

 

次に、Aさんに同行してお母さんと面談し、最近Bさんに対して現金を贈与したことがあるのか直接確認しました。

 

お母さんによると、BさんにもAさんにも贈与したことなどはなく、銀行の通帳も全部自分で管理しているということでした。

 

Aさんが調べてみると、通帳は確かにお母さんが保管していましたが、キャッシュカードは1枚もありませんでした。

 

これでBさんが預金を勝手に引き出した可能性が高くなりましたが、認知症を患っているお母さんの記憶は一部あいまいで、Bさんに求められて自らキャッシュカードを渡した可能性も残ります。

 

そこでAさんと相談の上、お母さんについて成年後見の申立をすることにしました。

申立書には成年後見人としてAさんか、専門職の後見人を選任するように記入しました。

 

最後は、遺言です。

お母さんがBさんから求められて全ての財産をBさんに相続させるといった遺言を作成している可能性があります。

 

遺言は一度作成されると、特にそれが遺言公正証書の場合、お母さんが亡くなった後、遺言が無効であることを争うの大変です。

 

Aさんは、お母さんに、これまで遺言を作ったことがあるか聞いてみましたが、お母さんはよく覚えていないということでした。

 

遺言は一度作成しても、新たな遺言により先の遺言を撤回したり、別の内容にすることができます。

また、一口に認知症といっても一切遺言が作成できなくなるわけではありません。

 

こうしたことをAさんに説明し、遺言を作成するか否かお母さんとよく相談してみてくださいとアドバイスさせてもらいました。

 

しばらくしてAさんから、お母さんが財産をAさんとBさんに半分ずつ相続させることを内容とする遺言を作成することになったという連絡がありました。

 

本件では、預金の引き出しをAさんが早い時期に気付いたため、親族による使い込みといった事態を避けることができました。

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