解決事例

(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)

 

亡くなったお父さんの相続の相談に来られたのはAさんでした。

相続人は長男のAさん、次男のBさんの2人。お母さんは既に亡くなっていました。

 

Aさんによると、主な相続財産はAさん家族が現在暮らしている父名義の自宅の土地・建物、そして500万円ほどの預貯金ということです。

 

自宅の評価は、固定資産税評価額によれば約3000万円。

四十九日が終わった後、BさんからAさんに対して、遺産分割は公平に半分ずつにしてほしいとの要求があったそうです。

 

Aさんの希望は、自宅を相続してこらからも家族と暮らしていきたいというものでした。

しかし自宅が相続財産に占める割合は約85%です。

 

自宅の3000万円という金額は固定資産税評価額に基づいているため、土地に関しては、実際の取引価格はもう少し高額となる可能性がありました。

 

そこでAさんに対して、代償分割という遺産分割方法を検討してはどうかと提案しました。

代償分割とは、分けにくい自宅等の不動産を相続した相続人が、その代償として他の相続人に代償金という金銭を支払う方法です。

 

不動産を相続する相続人は、代償金の支払が必要となる一方、単独で不動産を相続できます。

なお、代償分割は遺産分割の一方法のため、代償金の支払に課税は生じません。

(相続登記には登録免許税は必要となります)

 

本件では相続財産の総額は約3500万円、Bさんの相続分はその半分の1750万円です。

Bさんが仮に預貯金500万円を全額相続すると、AさんがBさんに支払う代償金は1250万円(1750万円―500万円)となります。

 

こうした説明をAさんにしたところ、とてもではないが一括で1250万円もの代償金を支払うのは困難である、ということでした。

 

ただ、分割であれば何とか支払うことができる、ということだったので、Bさんに代償金の分割払を承諾してもらうよう交渉することになりました。

 

Aさんの代理人となり、さっそくBさんにAさんの提案を伝えたところ、①自宅の評価額が3000万円というのは低すぎる、②代償金の分割払は本当に最後まで払ってもらえるのか心配なので承諾できない、ということでした。

 

一方、Bさんとしても、Aさんが自宅を売却し、売却代金を分割するといったことまでは考えていませんでした。

Bさんにも、Aさんの提案の対案となるものがなく、困っていました。

 

そこで改めてAさんと相談した上で、①自宅の評価額を3000万円とする代わりに代償金1,250万円中、500万円を一括して支払う。②残り750万円は5年間の分割払とする代わり、自宅に抵当権を設定する、という提案を改めてBさんに行いました。

 

Bさんも弁護士に相談していたようですが、最終的にはこの提案を受け入れると連絡をしてきました。

最後に抵当権の登記費用をどちらが支払うのか問題となりましたが、Aさんが支払うことにして、相続登記及び抵当権設定登記いずれも当事務所で行いました。

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