解決事例

(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)

 

事業をしていたお父さんが亡くなり相続の相談に来られたのが長男のAさん、次男のBさんでした。

被相続人は生前、数店のガソリンスタンドを経営していましたが、経営は厳しくここ数年は赤字が続いていました。

 

Aさんは被相続人の家業を継ぐ予定でしたが、Bさんは会社員で、家業を継ぐ予定はないということでした。

 

お二人によると、会社の財務はもっぱら被相続人がみており、Bさんは無論、Aさんも会社の財務内容や、被相続人が個人保証をしていたのか分からないということでした。

 

Aさんによれば、被相続人が急逝したこともあり、会社の株式は全て被相続人が所有していたということです。

 

会社の税理士に確認したところ、税理士は年一回、確定申告だけお付き合いしていたので、細かな財務内容まだでは分からないということでした。

 

被相続人はずい分と前に事業資金を捻出するために自宅を処分し、その後賃貸マンションで暮らしていたので、相続財産は会社の株式といくらかの預貯金だけでした。

 

事業を継がないBさんは相続放棄を検討していましたが、Aさんは被相続人の財産を相続すべきかどうか迷っていました。

 

2人から話を伺うと、簿外債務等を含めた会社の財務内容や、被相続人の個人保証の有無を調査するにはしばらく時間がかかりそうでした。

 

一方で民法915条は、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」と規定しています。

 

本件では会社の財務内容等の調査に3か月以上かかることが見込まれたため、Aさんと相談の上、家庭裁判所に対して、相続するか否かを検討する熟慮期間を3か月延長できるように申立てました。

 

熟慮期間延長の申立書には、延長を必要とする事情を記載する必要があるため、相続人が会社の財務内容等を調査する必要があるといった事情を記載しました。

 

そして熟慮期間延長の申立と並行して、Aさんに協力して会社の財務内容の調査に着手しました。

取引先、取引金融機関の担当者と面談し、契約書等の調査を進めたところ、会社はかろうじて債務超過を免れていることが判明しました。

 

ただし、短期間で調査を進めたため、漏れが生じている可能性があります。

そこで2人と相談し、事業を継ぐAさんは相続を単純承認する一方、Bさんは相続放棄をすることにしました。

 

相続放棄は、相続人ごとに放棄をするかしないかを決めることができるので、今回はBさんだけが相続放棄をすることとしたのです。

 

本件では、こうして相続放棄の熟慮期間の延長を申立てることで対応することができました。

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