解決事例
(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)
法律相談に、離婚した夫と暮らす娘との面会交流について相談に来られたのはA子さんでした。
A子さんの話によると、夫のBさんと離婚したのは3年ほど前、娘のC子さんは小学5年生の時でした。
離婚の原因はA子さんのアルコール依存症でした。
キッチンドリンカーだったA子さんは、さんを会社に、C子さんを学校に送り出すと、ほぼ毎日、朝からお酒を飲む生活を続けていました
飲むのは近所のディスカウントスーパーでまとめ買いする発泡酒。
数時間おきにお酒を飲み続け、常に体内にアルコールがある状態で、まさに連続飲酒の典型でした。
C子さんやBさんが帰宅する時間になってもお酒を飲んでいることがあり、時に夕食を作らなかった(作れなかった)りしたため、Bさんから何度も厳しく注意されていました。
A子さんはBさんと何度も禁酒を約束しましたが、一人になるとお酒を飲まずにいられませんでした。
A子さんは禁酒セラピーにも行ったそうですが長続きせず、禁酒の約束をしてはそれを破って飲酒を始めるということの繰り返しでした。
とうとうBさんは、これ以上C子さんに悪影響を与えたくないとして、A子さんに離婚を迫りました。
A子さんは、自分に非があることは十分分かってたので、離婚に合意しました。
C子さんの親権者はBさんとなり、A子さんはそれまで家族で暮らしていた自宅を出て実家の両親と暮らすことになりました。
その後、A子さんはこのままでは自分の人生は終わってしまうと考えました。
A子さんは両親の説得もあり、真剣に禁酒に取り組むため、心療内科を受診することにしました。
そこで医師の指導に従ってリハビリを開始し、アルコール依存症から脱却できたということでした。
ふつうの生活を取り戻したA子さんは、3年前に別れたC子さんとの面会交流を希望していました。
自分がアルコール依存症を克服したことを説明して、C子さんと母娘の関係を取り戻したいとA子さんは思っていました。
しかし、いきなり別れたBさんに連絡を取っても取り合ってもらえないのではないかと考え、当事務所に相談に来られたのでした。
確かにA子さん自身が心配されているように、いきなりアルコール依存症が治ったからC子さんと面会交流を実施したいとBさんに申し入れても、Bさんの理解を得ることは難しそうでした。
そこでまずA子さんの代理人となったこと、A子さんとC子さんの面会交流についての調停を申立てる予定なのでぜひ出席してもらいたいといったことをBさんに連絡しました。
家庭裁判所の調停を利用することにしたのは、家庭裁判所調査官に間に入ってもらい、A子さんとC子さんの面会交流実現の可否について、専門家としての意見を述べてもらうことが目的でした。
Bさんについても、家庭裁判所調査官の意見であれば受け入れやすいのではないかとも考えました。
早速、BさんとC子さんが暮らす住所地を管轄する家庭裁判所に面会交流の調停を申立て、申立書には家庭裁判所調査官の調査を申立てる旨記載しました。
そうした申立書を提出していたこともあり、調停では第1回目の期日から家庭裁判所調査官が同席して、A子さんの話を聞いてくれました。
その後、家庭裁判所調査官は、今度はBさん、C子さんと面談をして、A子さんとの面会交流についての意見を聴取してくれました。
その席で、家庭裁判所調査官からBさんに対して、一般論として面会交流の有する意義について説明があったようでした。
その後裁判官あてに提出された調査報告書によれば、Bさんは、A子さんが本当にアルコール依存症を克服しているのであれば、C子さんとの面会交流について特に反対はしないということでした。
一方、C子さんの方は、3年間会っていなかったお母さんと会うことに戸惑いがあるようでした。
そこで、まず家庭裁判所内で試験的にA子さんとC子さんの面会交流を実施することになりました。
3年ぶりにお母さんと面会したC子さんは、最初は態度がぎこちなかったものの、1時間ほどの試験的面会交流が終わる頃にはかなり打ち解けた態度を示すようになったということでした。
そこで、まず半年程度、月に1日、A子さんが自宅にC子さんを迎えに行き、食事などをして3時間程度一緒に過ごすという面会交流を実施することになりました。
A子さんは、両親と暮らす自分の家にC子さんを呼んで一緒に過ごしたいという希望があったようですすが、移動時間が片道2時間もかかるため、当面は3時間程度一緒に過ごすということで納得しました。
本件では、家庭裁判所調査官という専門家の協力を得て、無事にA子さんとC子さんの面会交流が実現できました。
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