解決事例
(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)
A子さんは、夫のBさんと、性格の不一致、価値観の違いなどを理由に離婚することになりました。
A子さんとBさんの間には高校生になったばかりのC君がいました。
C君は中高一貫の京都でも有数の進学校に通っており、将来は医学部への進学を希望していました。
A子さんは教育熱心で、C君が小学生のころには、ほぼ毎日、塾の送り迎えなど、C君の学習をサポートしてきました。
一方、Bさんは、C君をもう少しのびのびと育てたいと考えていたようで、C君についての教育方針についてもA子さんと意見が食い違っていました。
A子さんが今回Bさんと離婚するにあたって心配していたのは、離婚後にBさんが支払うC君の養育費でした。
A子さんとしては、医学部に進む可能性を踏まえ、BさんにはC君が24歳になるまで養育費を支払ってもらいたいと考えていました。
A子さんから依頼を受けた当事務所では、早速Bさんに連絡を取り、C君の養育費に関する希望を伝えました。
Bさんとしては、一人息子のC君にできるだけのことはしてやりたいが、本当にC君が24歳になるまで養育費を支払う必要があるのかすぐに判断できないということでした。
2週間ほど期間を空けて改めてBさんに連絡を取りましたが、依然としてBさんは今すぐ判断できないという返答でした。
弁護士を代理人にしていたA子さんと異なり、Bさんには代理人が付いていませんでした。
Bさんに今後代理人を付ける予定があるのか確認をしましたが、代理人を依頼するつもりはないとのことでした。
A子さんとBさんの離婚では、財産分与の内容や、C君の親権者にはA子さんがなることなど、養育費を除いてほぼ離婚の条件は決まっていました。
このままではC君の養育費に関する話し合いが進まないと考えられたため、Bさんに対して調停の利用を進めてみました。
調停を利用すれば、Bさんが調停委員等からある程度中立的な意見を聞くことができるので、C君の養育費に対する考え方も整理ができるのではないかと考えたのです。
早速、A子さんを申立人、Bさんを相手方として家庭裁判所に調停を申立てました。
申立書には、C君の養育費をいつまで支払うのか、という点を除いて、申立人と相手方の間では離婚の条件はほぼ決まっていること、C君の養育費の支払期限に絞って調停を進めてもらいたいといった希望を記載しました。
調停の場で、A子さんはC君が医学部に進む可能性があるため、C君が24歳になるまで養育費を支払ってもらいたいという希望に加え、医学部入学の際には入学金の一部についてもBさんに負担してもらいたいという希望を調停委員を通じてBさんに伝えました。
Bさんは、C君にはできるだけのことはやってあげたいと述べる一方で、現在C君は高校1年生であり、医学部に行くかどうかはわからない以上、離婚をする時点で養育費を24歳まで支払う約束はできないということでした。
Bさんは、養育費はC君が成人するまで、すなわちC君が20歳になるまで支払うというのが希望でした。
確かに、C君は現在高校1年生のため、将来医学部に進学するか否かは分かりません。
そこでA子さんと改めて相談の上、養育費の支払期限をC君が大学を卒業するであろう22歳までとして、改めてBさんと話し合うことにしました。
先に述べたようにC君は京都でも有数の進学校に通っており、C君が大学に進学するであろうことはBさんも納得できたようでした。
そこで、養育費の支払期限を、C君が22歳となる月を含む年度末までとし、医学部に進学することになった場合は入学金等について改めてA子さんとBさんで協議するという協議項目を調停調書に入れることにしました。
このようにして、養育費の支払期限についてA子さんとBさんは合意することができ、無事に(?)離婚することができました。
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