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【税務官僚から逃がせ隠せ個人資産】副島隆彦 幻冬舎 2013年
普段私が行っている相続税対策のセミナーの骨子は、聴衆の皆様に相続税がどれほど大変な税金なのかを解説した上で、その対策として生前贈与や不動産の有効活用といったお話をさせてもらっています。
弁護士や税理士の立場でお話をするので、当然ですが法律に則った相続税の節税(脱税にあらず)対策です。
本書では、日本の富裕層が相続税、贈与税、所得税の課税を回避するために国外に脱出している現状は、国の徴税に問題があるとして厳しく非難しています。
本当にここまで言っていいの?と言いたくなるくらい著者は国や税務署員の人々を罵倒します。
「(前略)正しい納税という言葉は非常に気持ちの悪い言葉である。
法律をどんどん新しく変えてつくっていって、日本の金持ち、資産家層からとにかく税金をたくさんふんだくろうという発想が背後にある。
サラリーマン層からは給与天引きで取りたい放題だ。まるで江戸時代の年貢だ。」(54頁)
(税による所得の再分配機能について)「格差社会の是正などと無自覚に唱えている者は、ただの頭の悪い人間か「貧乏人の(金持ちへの)ひがみ根性」が骨の髄まで来ている者か、あるいは財務省=国税庁の手先、スパイである。」(58頁)
(税金官僚の考える税制は)「➀とにかく富裕層の遺産を海外に逃させないこと。海外のお金は日本で管理できない。➁貧乏層(低所得者層)からはこれ以上取れない。だから消費税で広く薄く取る。③富裕層からは所得の上限課税、資産課税(相続税)で取る。」(189頁)
などなど。なかなか言えないことを、よくここまで思い切って、と感心してしまいます。
一方、本書では、税務署員に対する非難が随所に出てきますが、これは少し行き過ぎの感があります。
一部に問題のある調査をする税務署員の方もいるでしょうが、多くの税務署員は人の嫌がる仕事を文句も言わずに粛々と行っています。
もちろん、現在の税制を非難することは自由で、かつ必要なことだと思います。
一方で上命下服で業務を行っている個々の税務署員に対する必要以上の非難は、個人的には行きすぎだと考えます。
当初、節税スキームを解説した本だと考えて手に取った本書ですが、結果として色々なことを考えさせられました。
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