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【名義財産の税務】 阿部和彦 2014年 中央経済社

 

私は相続対策、相続税対策をテーマに、セミナーや講演の弁護士・税理士講師のご依頼をいただくことが多いのですが、相続税対策の中で相続税の税務調査のお話は必ず触れるようにしています。

国税庁に拠れば、平成24年分の相続税課税件数に占める相続税実地調査件数の割合は、約24%です。単純に計算すれば、相続税を申告した相続人中、4件に1件が相続税の税務調査を受けていることになります。

 

次に、相続税実地調査件数に占める相続税申告漏れ件数の割合は、約82%にのぼります。

「十中八九」という言葉がありますが、相続税の実地調査を受けた相続人の十中八九が申告漏れの指摘を受け、修正申告に応じる等の対応をしていることになります。

 

どのような相続財産が申告漏れとなっているのかといえば、これも国税庁に拠ると、毎年、現金・預金が財産別では1番です。

このうち、現金の申告漏れはイメージが容易です。

タンス預金など、表に出てこない現金は申告の対象から除外してもばれないだろうと思う相続人がいることは〈事の是非は別にして)理解できます。

 

一方、預金は、現在架空名義の口座開設が困難である以上、名義預金が相続税の税務調査で問題となるケースが多いものと思われます。

来年から相続税が増税されるなか、多くの資産家の方々が相続税対策に熱心に取り組まれています。

このブログでもご紹介しているように、最近は相続税対策の講演やセミナーが開催されると、会場は熱心な聴講者で一杯です。

 

この相続税対策の一つが生前贈与ですが、親が子や孫の銀行口座に資金を移動しても、その後、その資金の管理を親が継続してしまうといわゆる名義預金として親が亡くなった後の税務調査で問題となる可能性が高くなります。

生前贈与は相続税対策の手法として高い効果が期待できますが、贈与のやり方やその後の贈与資金の管理を間違えると名義預金という厄介な問題が起こります。

 

本書は、相続税対策を指導する税理士や弁護士を対象に、こうした名義預金を含む名義財産の問題が生じないようにする様々な手法を分かりやすく紹介しています。

相続税の問題に携わる税理士や弁護士は一読の価値ありです。

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