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診療契約に基づく注意義務

 

医師・医療法人が患者に対して負う診療債務の法的性質は準委任契約と解されています。

そのため、医師・医療法人は、患者に対して、診療契約に基づき善良なる管理者としての注意義務(善管注意義務)を負います。

この善管注意義務に反したか否かについては、①当該患者に生じた悪しき結果について予見することができたか(予見可能性と予見義務)、②悪しき結果を回避することができたか(結果回避可能性と結果回避義務)によって判断されます。

具体的には、診療の過誤、手術における手技上の過誤、術後管理における過誤などある場合のほか、必要な検査等を行わなかった不作為によっても善管注意義務違反が認められます。

 

患者に対して負う法的責任

 

債務不履行責任

医師・医療法人は、患者に対して、診療契約に基づき、善良な管理者としての注意義務(善管注意義務)を負います。

したがって、個々の医療行為において、善管注意義務に反したことにより、患者に損害が発生した場合は、診療契約における債務を履行しなかったとして損害賠償責任が生じることになります(民法415条1項本文)。

債務不履行責任の具体的な内容は次のとおりです。

責任を負う者

患者と診療契約を締結した医師又は医療法人です。

慰謝料

契約当事者である患者に認められますが、患者の近親者には認められません。

遅延損害金の起算点

債務不履行責任を請求した時点が起算点です。

時効

①患者が権利を行使できることを知ってから5年、または患者が権利を行使できる時から10年です(民法166条1項)。

 

不法行為責任

医療行為に関与した医師は、患者との診療契約の有無にかかわらず、故意または過失によって患者に損害を与えた場合には、患者に対して不法行為責任を負います(民法709条)。

不法行為責任の具体的な内容は次のとおりです。

不法行為責任を負う者

医療行為を行った医師の他、当該意思を雇用している医療法人についても使用者としての責任が認められる場合があります(民法715条1項本文)。

慰謝料

契約当事者である患者の他、患者の近親者にも固有の慰謝料が認められる場合があります(民法711条)。
遅延損害金の起算点

不法行為(医療行為)が起算点です。

時効

者(又は法定代理人)が損害及び加害者を知ってから3年、又は不法行為時から20年です(民法724条)。

人の生命又は身体を害する不法行為については、患者(又は法定代理人)が損害及び加害者を知ってから5年です(民法724条の2)。

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