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今回は、創業1675年(延宝3年)上野池之端に本店を構える酒悦のご紹介である。

そう、酒悦といえば福神漬け福神漬けといえば酒悦の、あの酒悦である。

実は、酒悦は福神漬け以外にも佃煮や梅干し、いろいろな瓶詰の商品を作っているけれど、やはり福神漬け、である。

今回、元祖福神漬けを求めて上野池之端の本店に行ってきた。

それにしても福神漬けとの付き合い方は難しい。

もちろん、酒悦のようなお店で福神漬けを買って帰って自宅でカレーなんかと食べる分には難しくもなんともない。

好きなだけ、気が済むまで福神漬けを食べればいいのである。

付き合いが難しいのが、外でカレーを食べるときに付いてくる福神漬けの方。

それでも、カレーライスの皿に盛り切りで出てくる福神漬けであれば問題がない。

盛り切りなので、食べる方の裁量みたいなものが一切働かないからである。

でてきた福神漬けを何も考えずに食べるだけ。

難しいのは瓶とか壺に入っていて福神漬けをどれだけ食べるのかが客の裁量に任されているタイプ

もう少し正確に言えば、客の良心( ゚Д゚)に任されているタイプ。

 

わたくし、本当は福神漬けは特に好きな食べ物ではない。

家でカレーを食べるときも、福神漬けがあれば食べるし、なければないで困らない。

ところが、お店でカレーを食べるときに目の前に壺に入った福神漬けをみると、ムショーに福神漬けに対する愛♡みたいなものが芽生えるのである。

できるだけ食べてあげたいな♡みたいな福神漬け愛♡とでも呼ぶべき感情が沸き上がるのである。

もう少し端的にわたくしの感情を表現すると、人目がなければ瓶ごと福神漬けを食べてしまいたい!、といった欲望が沸々と芽生えるのである。

しかしながら、外のお店でカレーを食べているわけなので、人目がなければ、という状況にはなり得ない、のである。

 

そうすると、どうしても店員やほかの客の目を盗んで福神漬けを確保する、といったことになる。

それでもカレーが運ばれてきて最初に福神漬けを確保する時には、当然の権利ということでスプーンなどを使って多めに福神漬けをカレー皿に取り分けることができる。

問題は、2回目以降に福神漬けを取り分ける時である。

何度も何度も瓶から福神漬けを取り出すと人目に付くので、福神漬けの瓶を手に取る回数は2回以内が望ましい。

その2回の取り分けで最大限福神漬けを確保するために重要なのがタイミングである。

一番いいのは新しい客が店内に入ってきたとき

どうしても店員や他の客の注意が新参の客に向くので、そのすきを狙って福神漬けを取り分ける。

食べ終わった客が会計をするときは、店員の注意を逸らすことはできる。

ただ、近くにいる客は出ていく客には関心を持たないので、客の注意を逸らすことはできない。

特にオバサンやオバアサンに多いだのが、自分の利害得失とは全く関係ないのに、周りの客の不行跡を見つけては非難のまなざしを注ぎ続けることに使命を燃やす客というものがどこにでもいるものである。

福神漬け大量確保は、こうした客にとって格好の非難の対象になるのである。

それでも福神漬けが食べたければ、少々紳士の対面が損なわれることになってもあとは強行突破、人目を気にせず瓶から思うまま福神漬けを取り分けてしまうしかない。

そう、最後は福神漬けを取るか、体面を重んじるのかの二択なのである。

それにしても福神漬けとの付き合い方は難しい。

 

 

今回、酒悦では3種類の福神漬けを買い求めた。

元祖福神漬け(540円) 特選福神漬(594円) 淡口福神漬(594円)

さすが福神漬け元祖のお店のものだけあり、どの福神漬けもウマかった。

ただ、何かが欠けている。

そう、店で店員や他の客の目を盗んで福神漬けを確保するあのヒリヒリするような刺激である。

 

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