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子の引渡しの強制執行(民事執行法174条)

 

令和元年法律2号により、子の引渡しの強制執行に関する規定が新設されました。

子の引渡の強制執行は次の方法で行います(同条1項)。

➀ 執行裁判所が決定により執行官に子の引渡しを実施させる方法

➁ 第172条第1項に規定する方法※

 

※民事執行法172条1項(間接強制)

「作為又は不作為を目的とする債務で前条第一項の強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う。」

 

ただし、➀執行官による強制執行は、つぎのいずれかに該当する必要があります(同条2項)。

➀ 間接強制の規定による決定が確定した日から2週間を経過したとき(当該決定において定められた債務を履行すべき一定の期間の経過がこれより後である場合にあつては、その期間を経過したとき)。

➁ 間接強制による強制執行を実施しても、債務者が子の監護を解く見込みがあるとは認められないとき。

➂ 子の急迫の危険を防止するため直ちに強制執行をする必要があるとき。

 

さらに、①執行官による強制執行を決定するにあったっては、裁判所は債務者を審尋する必要があります。ただし、子に急迫した危険があるときその他の審尋をすることにより強制執行の目的を達することができない事情があるときは、この限りではありません(同条3項)。

 

執行官の権限等(民事執行法173条)

 

執行官の権限は次のとおりです(同条1項)。

 

執行官は、債務者による子の監護を解くために必要な行為として、債務者に対し説得を行うほか、債務者の住居その他債務者の占有する場所において、次に掲げる行為をすることができます。

➀ その場所に立ち入り、子を捜索すること。この場合において、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすること。

② 債権者若しくはその代理人と子を面会させ、又は債権者若しくはその代理人と債務者を面会させること。

➂ その場所に債権者又はその代理人を立ち入らせること。

 

執行官は、子の心身に及ぼす影響、当該場所及びその周囲の状況その他の事情を考慮して相当と認めるときは、債務者の住居その他債務者の占有する場所以外の場所においても、債務者による子の監護を解くために必要な行為として、当該場所の占有者の同意を得て又は次項の規定による許可を受けて、前項各号に掲げる行為をすることができます(同条2項)。

債務者の住居その他債務者の占有する場所以外の場所とは、子が通学する保育園、幼稚園、学校などです。

 

執行裁判所は、子の住居が債務者の住居等以外の場所である場合において、債務者と当該場所の占有者との関係、当該占有者の私生活又は業務に与える影響その他の事情を考慮して相当と認めるときは、債権者の申立てにより、当該占有者の同意に代わる許可をすることができます(同条3項)。

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