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サラリーマンをしていた20代のころ、給料日にはトンカツを食べに行くことが多かった。

わたくしにとってトンカツは、それなりのハレの日のご馳走だったのである。

そしてわたくしは、焼肉やトンカツを含めた揚げ物全般に目がなかったのである。

もちろん、トンカツ屋さんで頼むのはロース一択であり、ヒレはアウトオブ眼中である。

 

それから幾星霜、最近はめっきりとトンカツ屋の暖簾をくぐる機会が減ってしまった。

若いころのトンカツ、いや、アブラ(脂)に対する情念が年を経るにして枯渇してしまったのである。

それでも時々、胃腸の調子が良いときなどにトンカツ屋の前を通ると、久しぶりにトンカツでも食べていくかということがある。

今回、静岡駅近くでたまたまトンカツ屋に遭遇した時がまさにそうだったのである。

 

 

お店の名前は「とんかつ丸七静岡店」。

わざわざ静岡店と名乗るぐらいだからほかに店があるのか調べてみると、本店は東京の門前仲町にあるらしい。

静岡駅を出て高架沿いにしばらく西に向かって歩くと、やがてよく分からない人型のオブジェが飾られた入口が見えてくる。

外から眺める限りわたくしが若いころにはやった屋台村のような雰囲気である。

お店の引き戸を開けると、テーブル席とカウンター席いずれにも先客あり。

カウンター席の先客は若い女性である。

お店に入る前からローストンカツを注文することにしていたのだが、改めてメニューを見ると、こちらのお店は「焼カツ」推しのお店のようである。

推しのようであるが、そもそもわたくし「焼カツ」なるものを知らない。

知らないので店員さんに尋ねてみると「揚げるんじゃなくて焼くんです」とのことでした。

店員さんには悪いけど、さすがにわたくしもこの程度のことは想像できていた。

しかたがたないので、焼カツに対する探究をひとまず横において「焼カツ(上)」を注文する。

焼カツには「並」、「上」、「特上」、「特上ハーフ」、「極厚」とあり、それぞれ値段が違うのだが、値段の違いは肉の厚みによるようである。

特上ハーフの意味はよく分からないが。

 

 

さて、注文が通ると、目の前で店員さんがわたくしの焼カツ上をつくりはじめた。

その工程を注意深く見ていると、焼カツとはカツを揚げ油で揚げるのではなく、少量の油で揚げ焼に調理するものであることが判明した。

全身浴で調理されるトンカツと、半身浴のトンカツにどのような味の差が生まれるのか分からないが、まあそういくことである。

注文してから20分ほどでわが焼カツ上がみそ汁と香の物のお供を連れて運ばれてきた。

 

 

焼カツの一切れを箸でつまんで横向きにすると、嗚呼、けっこうな厚みである。

ずい分と調理に時間がかかるなあと思っていたが、この厚みなら納得である。半身浴だし。

けっこうな厚みの焼カツであったが、食べてみるとあら不思議、案外さっぱりと食べることができるのである。

最初、並と上で迷ったけれど、上で正解であった。

なんなら特上や極厚でもよかったかもしれない。

久しぶりにいただいたトンカツ、噛みしめると青春の味がした(するわけないか)。

 

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