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今更ながら、ではあるが、最近そば屋さんを重宝している。

その理由は、他の飲食店と違ってアイドルタイムがないこと。

いったん暖簾を揚げたら閉店まではずっと営業しているお店が多い。

昼過ぎの中途半端な時間に何か食べ立ちと思っても、普通のお店だと開いていない。

そして、いわゆる「そば前」を楽しめること。

昼時の混雑している時間をずらせば、玉子焼きや焼き鳥で日本酒を楽しむことができる。

実際に夕方そば屋の暖簾をくぐると、そば前を楽しんでいるオジサンをよく見かける。

ほとんどのお客さんが一人なので、酔っぱらいの放歌高吟もなく、ゆっくりと酒と肴を楽しむことができる。

 

 

ということで、今回は銀座の泰明庵に行ってきた。

お店は名前のとおり泰明小学校のすぐそば、泰明通りに面している。

そして、泰明庵といえば、この時期にしか食べられない「セリそば」が有名である。

昼時を少し外して行ったのだが、あいにくと満員。

2階の階段の踊り場で5分ほど待って席に案内される。

ちなみに泰明庵は相席が基本で、通された席にも中年夫婦の先客がいたので軽く会釈。

 

セリそばを食べるつもりやって来たのだけれど、壁に張り出された短冊を眺めるうちにセリのお浸しでそば前を楽しむ方向に予定を変更。

女性の店員さんにセリのお浸し、そして白鹿のぬる燗を注文。

注文してから周りを見ると、そば前でお酒を楽しんでいる人は2割程度。

きっともう少し遅い時間になるとそば前のお客さんの割合が増えるのだろう。

注文してから5分ほどで料理到着。

 

 

かつぶしがタップリかかったセリのお浸し、皿にとった醤油に少し浸して食べるとシャクシャクとした歯ごたえと、セリ独特のかすかなえぐみが感じられる。

セリそばもいいけど、温かいそばだと、どうしてもセリのシャクシャク感がすぐに失われるので、セリのお浸しにして正解だった。

合間に飲むぬる燗の白鹿。芳醇な味わいでセリのえぐみとよく合う。

最近は外でお酒を頼むときにはきまってぬる燗を注文する。

むかしは、夏でも冬でもひや一辺倒だったけれど、ぬる燗にするとお酒の味がよく分かることにこの年になって気づいた。

セリのお浸しで白鹿を一本あけて、もりと白鹿のお代わりを注文。

 

 

そばを手繰り、白鹿をひとくち。

辛めのつゆと白鹿がまたよく合う。

いつのまにか、そば屋でこんなの見方をする年になったのだなあと、ひとり感慨にふける。

気が付くと、階段付近に待ってるお客さんが増えてきた。

よし、長っちりはやめて、つぎのお客さんに席を空けよう。

勘定を済ませて外に出ると、当然ながら周りは明るい。

少しほろ酔いになったので、有楽町駅までゆっくり歩いていこう。

 

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