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破産管財事件と同時廃止事件
破産管財事件とは、裁判所から破産管財人が選任され、破産管財人が破産者の財産を換価処分して債権者に対する配当原資を確保する事件のことです。
(破産法31条1項)
一方、同時廃止事件とは、破産手続開始時の破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認められるときに、破産手続開始と同時に破産手続の廃止を決定する事件のことです。
(破産法216条1項)
破産管財事件では、管財人の報酬を申立人が裁判所に予納する必要があるため、京都地方裁判所に申し立てた場合は、予納金は最低でも20万5,000円必要となります。
一方で同時廃止事件の場合、裁判所への予納金は1万1,859円となります。
裁判所への破産申立の場合、その他にも官報公告費用や収入印紙代、弁護士に手続を依頼する場合は弁護士費用等も必要となります。
法人や法人代表者の同時廃止処理の可否
以上のとおり破産管財事件は、同時廃止事件に比べて破産申立人が準備する予納金が多額となります。
そこで、法人やその代表者が破産申立をする場合に同時廃止処理ができないか、あるいは法人の破産申立を先送りにして、代表者だけ同時廃止処理ができないか、といった相談が寄せられます。
確かに法人が事業を停止して相当期間経過しているといった場合、法人に財産がないことが明らかで、その結果、法人の破産申立の際の予納金が準備できない、といったケースは想定されます。
しかし、一般論ですが、裁判所は、法人の同時廃止処理や法人代表者だけの同時廃止処理には消極的だと思われます。
その理由として、
1
法人が事業を停止した時点では一定程度財産を保有していたと考えられること
2
仮にその後に財産を処分した場合も、その処分の過程に問題がなかったかについては破産管財人による調査が必要なこと
が挙げられるようです。
また、法人代表者が先に破産手続開始決定を受けてしまうと、取締役の委任契約が終了するため(民法653条2号)、法人の法定清算が困難となってしまいます。
そこで、法人とその代表者が破産申立を行う場合は、両者が同時に破産管財事件として申立てることになります。
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