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離婚届の偽造

 

離婚したいのに相手がどうしても離婚に応じてくれないことがあります。

本来であれば協議で離婚できない場合、家庭裁判所の調停手続を利用して話合い、それでもだめなら訴訟を提起する必要があります。

訴訟において裁判所が離婚事由があると認めれば、相手の意向に関わらず離婚することができます。

 

こうした手続が面倒だといって相手に無断で離婚届を作成して、これを役場に提出するとこれは犯罪になります。

まず、離婚届に相手に無断で相手の名前を署名し、押印することは私文書偽造罪(刑法159条)に該当します。

勝手に作った離婚届を役場に提出すると、偽造私文書等行使罪(刑法161条)と公正証書等原本不実記載罪(同157条)に該当します。

 

偽造された離婚届が役場に提出された場合の対応

 

役場の窓口では、提出された離婚届が偽造されたものなのか判断できません。

したがって、形式不備がなければ離婚届はそのまま受理されてしまい、戸籍上は離婚が成立したことになります。

 

偽造した離婚届の提出は犯罪となるため、警察への告訴を検討することになりますが、戸籍の記載を元に戻す手続は自分で行う必要があります。

 

まず、家庭裁判所に調停を申立て、離婚無効について話し合います。

この話合いが上手くいかない場合、離婚無効の確認訴訟を裁判所に提起して、裁判所に離婚の無効を確認してもらう必要があります。

離婚の向こうが確認されれば、役所に戸籍訂正の申し出を行います。

 

不受理申出の利用

 

偽造された離婚届が一旦提出されると、戸籍の訂正には大変な手間と時間が必要です。

そこで勝手に離婚届を提出されないようにするに、予め役場に「離婚届の不受理申出書」を提出しておきます。

 

不受理申出とは、届出によって効力が生じるものについて、自己を届出事件の本人とする届出がされても、自らが窓口に出頭して届け出たことを確認することができない限り、届出を受理しないように申出をすることができる制度です。

 

不受理申出の対象となる届出は次のとおりです。

① 離婚届

② 婚姻届

③ 養子縁組届

④ 養子離縁届

⑤ 認知届

 

提出先の役場には限定はありませんが、本籍地以外の役場に提出すると、本籍地の役場に連絡が届くまでにタイムラグが生じます。

したがって、不受理申出書の提出は本籍地の役場に提出しておきます。

 

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