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財産分与ができる期間

 

財産分与請求権は、離婚後2年以内に請求をしないと消滅します(民法768条2項但書)。

この2年間は時効ではなく、除斥期間と解されています。

したがって、時効に認められている完成猶予(一定の期間時効が完成しないこと)や、催告による期間の延長はありません。

 

離婚時に財産分与がなされなかった元妻及び子名義の貯金債権について、元妻の死亡後に子が金融機関に対して、当該貯金債権を相続又は時効取得したとしてその払戻しを請求した事件で、裁判所は、すでに離婚から2年が経過しており、元夫が財産分与として元妻の貯金債権を請求することができないため、貯金債権は確定的に子に帰属しているとして、子の請求を認めました。

(東京地判平成20年12月26日)

 

離婚時に共有財産が隠匿されていた場合

 

離婚時に夫婦の一方が故意に共有財産の一部を隠匿したため、他方が本来であれば受けることができた財産分与を受けられなくなった場合、不法行為に基づく損害賠償を請求することが考えられます。

不法行為に基づく損害賠償請求権は、損害及び加害者を知ってから3年間が経過するか、不法行為から20年経過するまでは請求することができます(民法724条)。

 

もっとも損害賠償請求が認められるためには、「故意に」共有財産を「隠匿」(「違法性」)したことが必要となります。

共有財産の一部が隠匿されたため財産分与を受けられなかったとして除斥期間経過後に不法行為に基づく損害賠償が請求された事例では、婚姻期間中は原告及び被告が各財産をそれぞれ管理していたこと、原告が離婚時に財産分与を求めていなかったことからは、被告が意図的に預金を隠匿したとはいえないとして、原告の請求は棄却されました。

(東京地判平成25年8月8日)

 

同様に、離婚訴訟において自己の特有財産であるとの認識から財産の存在を主張せず、相手方当事者において調査嘱託等の手段を講じて預金の存在を主張して攻撃防御を尽くすことは、離婚訴訟で通常に行われている攻撃防御方法であるから、単に預金及び貯金の存在を主張しなかっただけでは故意の遺徳行為として評価できないとして、不法行為に基づく損害賠償請求を求めた原告の訴えを棄却した裁判例もあります。

(東京地判平成19年3月29日)

 

したがって、離婚時に相手方が単に財産の存在を黙っていた等の事情しかみとめられないのであれば、除斥期間経過後に財産分与に代わる損害賠償請求が認められる可能性は低いと考えられます。

 

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