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神野泰一裁判官が執筆した「離婚訴訟における慰謝料の動向」(ケース研究322号・30頁)という論文があります。

2012年4月から2013年12月までの間に東京家裁で終局した離婚事件のうち、和解などではなく判決が下さされた事件で、かつ、慰謝料について当事者間に争いがあった事件を203事例を調査したものです。

 

同論文によれば、203事例中、慰謝料が一部でも認容されたのは75件(約37%)。

平均認容額は153万円で、最高金額は700万円、最低金額は10万円でした。

主な慰謝料事由が不貞である場合の平均認容額は223万円であるのに対して、主な慰謝料事由が暴力である場合の平均認容額は123万円でした。

 

同論文によれば、慰謝料の金額の高低は次のような要素で決まります。

〇婚姻期間(長い方が高く、短い方が低い)

〇未成熟子(いれば高く、いないと低い)

〇当事者の経済力(有責配偶者に経済力がある、無責の配偶者に経済力がないと高い)

 

離婚原因の内容によって慰謝料の額に高低はありますが、一般的に慰謝料の額は請求する側が期待するほどは認められません。

また、不貞関係を理由とする慰謝料請求は、相手方が不貞行為を否認すると慰謝料を請求する側が不貞関係の立証をする必要があります。

不貞関係の調査に興信所などを利用すると相応の費用も必要となります。

慰謝料を請求すべきか否か、まずは身近な法律の専門家に相談してはどうでしょうか。

 

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