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夫婦双方が有責の場合の婚姻費用分担請求

 

権利者が有責であるが、義務者も有責であるなど、夫婦双方に婚姻関係破綻の責任がある場合、権利者の請求を一切認めないことは相当ではありません。

そこで夫婦双方が有責の場合の婚姻費用分担請求については、責任の程度に応じて分担額を減額して調整することになります。

裁判例によれば、減額の程度は3割から7割となります。

 

裁判例1 大阪高決平成19年2月28日

資産家の相手方(夫)は、不妊治療が失敗したことが原因で抗告人(妻)と喧嘩となり、生活費を一方的に減額する一方、女性Yと交際したため抗告人が激しく非難して粗暴な行為に出たため別居を開始。

一方抗告人も別居の半年前から男性と不貞関係を継続した事例。

「相手方には、抗告人との同居期間中と同程度の生活が維持できるように生活費を支給すべき義務があるとはいえず、相手方の支払うべき婚姻費用分担額は、上記基準からは相当程度減額されてしかるべき」として生活保持義務を前提とした場合の70万円の半額35万円が相当であるとした。

 

裁判例2 大阪高決平成20年12月18日

十分な生活費を渡さず、粗暴な抗告人(夫)に対して不満を抱いていた相手方(妻)は抗告人との離婚を考えていたが、一方で家庭生活から逃避するために始めた趣味に没頭し、その過程で知り合った男性Xと不貞関係を続けていた事例。

裁判所は、相手方の行為は不貞行為にあたり、婚姻関係破綻の位置原因になることは否めないものの、抗告人も責任があるとして、抗告人が分担する婚姻費用について3割の減額を認めた。

 

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