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義務者が働けるのに働いていない場合

 

無職で収入がない場合は、原則として収入はゼロとなります。

一方で、働く能力がある場合は、潜在的稼働能力があるものとして収入を認定することもあります。

 

具体的には賃金センサス等を用いて収入を推計することがありますが、定職について働いた経験がある場合と、そうした経験がない場合では、賃金センサスの適用区分を分けたりします。

後者の場合は、短時間労働者の性別・年齢別の年間収入によって推計することになります。

 

義務者が敢えて低い収入としている場合

 

高収入を得ようと思えば得ることができるのに、義務者が敢えて低い収入しか得ていない場合があります。

確かに憲法が保障する職業選択の自由からすれば、義務者であってもどのような仕事に就くのか自由に決めることができます。

時には、スキルアップを図るために一時的に研修や研究を主体とする生活を送ることもあるでしょう。

 

他方、婚姻をして未成熟子がいるような場合、家族の擬制において義務者が自由に振舞えるとするのは行き過ぎです。

家族と同居していれば、家族の同意を得てから転職等をすることが原則であり、これは家族と別居していても変わりません。

 

義務者が敢えて低い収入しか得られないことが問題となった事例で、裁判所は次のような判断をしています。

 

勤務医だった抗告人(夫)が病院を退職してアルバイト生活を送るようになった事例

「抗告人は、平成17年4月、自己研鑽のため、それまで勤務していた病院を退職して複数の病院でアルバイトをするようになったが、それまでは、勤務医として稼働し、平成16年には約1674万円の収入を得ていたなど、原審判認定の事実関係の下においては、抗告人は、現在、自己の本来の稼働能力に応じた収入を自らの意思により得ようとしていないものであり、このような場合においては、少なくとも、経験年数10年から14年、46歳の男性医師の平均年収である1427万3900円の収入を得ることができるだけの潜在的稼働能力があると推認することができるから、これを抗告人の総収入として、その婚姻費用分担額の試算をすることは、何ら不当ではない」

(大阪高決平成18年4月21日)

 

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