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婚姻費用や養育費を決めるにあたり裁判所では算定表が参考にされます。
算定表では、権利者(婚姻費用は養育費を受取る人)と義務者(これらを支払う人)の総収入によって婚姻費用や養育費の具体的な金額を決めていくことになります。
自営業者の総収入
自営業者の場合は、確定申告書の「課税されるべき所得金額」が総収入にあたります。
もっとも「課税されるべき所得金額」は、税法上、種々の観点から控除がなされています。
そこで、実際の支出を伴わない①青色申告特別控除、②雑損控除、③寡婦寡夫控除、④勤労学生障害者控除、⑤配偶者控除、⑥配偶者特別控除、⑦扶養控除、⑧基礎控除については控除しません。
⑨専従者給与が計上されている場合も、実際には給与が支給されていない場合は控除しません。
さらに、⑩医療費控除、⑪生命保険料等控除についても、標準的な保険医療費等は既に特別経費として控除されているので控除しません。
自営業者における減価償却費の取扱い
減価償却とは、時間の経過や使用によって価値が減少する固定資産を取得した際、取得した年に全て費用計上するのではなく、耐用年数に応じて費用を分散計上する会計処理の方法です。
例えば、仕事に使う車を購入した際、車は買った年だけではなく、何年も仕事につかえます。
そこで普通車の新車を購入した場合などは、その耐用年数の6年にわたって費用計上をします。
しかし、上記事例で車を一括で購入した場合、お金が出ていくのは購入した年だけで、あとの5年間は実際には支出がないのに費用が計上されることになります(実際の減価償却の計算では月割で金額を算定します)。
そこで自営業者の年収の算定においても、確定申告書の「課税される所得金額」に減価償却費を加算すべきではないかが問題となります。
この問題については、上記事例のように減価償却資産購入時に代金を全て支払っている場合は、その後に実際の支出がないので減価償却費を「課税される所得金額」に加算して年収を求めます。
一方で、ローンで減価償却資産を購入するなど、計上された減価償却費に見合った支出が実際にある場合には、「課税される所得金額」に減価償却費を加算しないで年収を求めることなります。
したがって、自営業者の年収の算定における減価償却費の取扱いについては、実際の支出があるか否かをしっかりと確認する必要があります。
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