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民法は原則として夫婦別財産制を採用しているため(※1)、後で紹介する日常家事債務(※2)に該当しない限り、夫婦の一方が負担した債務については、他方が責任を負うことは原則としてありません。

問題は、どのような債務が夫婦の一方が負担した債務といえるのか、日常家事債務にあたるのかの区別の基準となります。

 

夫婦の一方が負担した個人的な債務

 

夫婦の一方が夫婦共同生活とは無関係にギャンブルや飲食で使った金銭に関する債務は、財産分与において考慮されません。

当該債務は債務を負った本人が返済すべきであり、他方が債務を負担することはありません。

個人の趣味のための債務、親族へ金銭を融通するための債務、相続債務等も財産分与で考慮されることはありません。

 

株式等の投資による債務については、夫婦の財産形成を目的としたものでなく、投資によるリターンの一部が夫婦の共同生活に費消されたといった事情がなければ同じく財産分与で考慮されることはないと考えられています。

 

他方、夫婦の一方の個人的債務について、他方が返済に返済に協力したといった事情がある場合には、「一切の事情」(民法768条3項)として考慮される可能性があります。

 

日常家事債務

 

「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。」とされています(日常家事債務 民法761条)。

どの様な債務が日常家事債務に含まれるのかについては、「当該夫婦の社会的地位・職業・資産・収入等によって、また、その夫婦が生活する地域の習慣によって異なる」とされています(新版注釈民法21)。

 

過去に裁判例等で日常家事債務と判断されたのは次のようなものです。

〇家庭用の食料品・衣料品の購入契約

〇家庭用光熱費債務

〇夫婦が暮らす住居の賃料債務

〇夫婦の一方の医療費・子の医療費

(夫婦の一方の医療費については婚姻関係が破綻して離婚した場合にも含まれると判断されています)

〇子の学習教材費に関する債務

 

他方で日常家事債務に含まれないと判断されたのは次のようなものです。

△夫婦の一方が他方名義の不動産に担保権を設定したり譲渡すること

△借財

△他人の債務について保証契約を締結すること

△夫婦で同居する建物の賃貸借終了後明渡までの損害金

 

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